53.大紅団扇(agonize over my heart) ページ3
.
それからもホソクは気にせず、わたしに話しかけてきて。彼女は食べなら、相槌打ちながらも携帯いじったりと会話に参加しないこともあって。
わたしは久しぶりにホソクと普通に会話ができて嬉しい筈なのに、彼女のことが気になって仕方なかった。
「あ、Aそれにしたんだ。俺、今日それか迷って止めたんだよな〜ちょっと味見させてよ」
そんなわたしを余所にホソクはわたしに話しかけてきて。挙句の果てに味見させてよなんて。戸惑いながらもお皿をホソクの方に向ければ、口を開くから固まる。
「え……」
「一口でいいから」
そういうことじゃない。隣に彼女が居るのに。他の女に食べさせてくれっていうのおかしくない？え、わたしがおかしいの？あれ、わたしがホソクの彼女だっけ？
もう戸惑い過ぎておかしな思考になる。どきどきしながら、なるべく彼女の方を見ないようにホソクが開けている口に入れてあげる。
「んーやっぱりそれも旨いなあ。次はそれ頼もうかな」
満足そうなホソクを見て嬉しくなるけど、素直に喜べなくて。でもその一連の流れの間も彼女は無言で。恐る恐る視線を向ければ、食べながら携帯をいじっていた。
本当になんなの……やっぱり上手くいってないのかな。略奪できる可能性あり……？
そんなことを思っていれば友人がわたし達の流れには触れず、話を変えてきた。
「あ、ねーホソク最近忙しいの？」
「別に、普通だけど。あーでも最近バイトつめてる。なんか忙しいみたいでシフトいっぱい入れらたんだよね」
「えーそっか。じゃあ無理かな？久しぶりに遊びに行かない？って思って」
そう友人が言って「ね？」とわたしを見てくるから、おずおずと頷く。ホソクと遊びに行けるのは嬉しいけれど、彼女が付いて来るのは嫌だ。
「お、いいねーどこ行く？」
「あ、彼女さんは？」
乗り気の様子のホソクに、わたしと遊びに行くことを拒否られなくて良かったとほっとするものの、彼女の動向が気になって友人と同じように視線を向ければ。
「んーあんまり知ってる人がいないし、わたしは止めておくね」
「そう？じゃあ彼氏借りちゃいますね〜」
「どうぞ〜じゃあホソクが相手してくれないならわたしも遊びに行こうかな」
「はいはい」
なんてノールックでやり取りをする2人。それがすごく冷めた関係に見えるけれど……でも逆にお互い信頼しているってこと？本当に意味分かんない。
.
54.ヒマラヤ雪の下(inner feeling)→←52.天竺牡丹(instability)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍(プロフ) - aoi****007さん» コメントありがとうございます！確かにお互い敵意むき出しでしたもんね…くさずぺんの方には申し訳ないことをしました。同じ人を好きになった同士なのでそのうち仲良くなってることを祈ります笑 (2020年5月17日 9時) (
レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
aoi****007 - クサズペンなので、喧嘩(？)してるところが、凄く複雑な気持ちだったけど 凄く面白かったです！ (2020年5月16日 13時) (レス) id: 3e8c59420d (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 六花さん» 初めまして！ホソクペンの方にそう言って頂けてとても嬉しいです。長編ホソクさんは初めてだったので不安もありまして。わたしの大好きな色気だだ漏れホソクさんを感じ取れたということでしょうか？ありがたいです！懲りずにまたホソクのお話書ければなと思います！ (2020年5月15日 0時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ナムさんとの三角関係も拗れてもどかしくてもう胸がぎゅんぎゅんしました。素敵な作品をありがとうございました。長文失礼致しました。更新お疲れ様でした…！ (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます！いつも小説楽しませて頂いております。当方ホソクペンなのですが、不意に出るホソクさんの色気が藍さんの小説でめちゃくちゃに昇華されていて魅力が詰まりすぎていました…！ (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藍
| 作成日時：2020年5月2日 12時
