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66.藤袴(hesitation) ページ16

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「ふー……疲れた」


バイトからの帰り道、最寄り駅に降り立って息を吐き出す。久しぶりにしっかりとバイトしたなあ……

珍しく酔っぱらってではなく、疲れでふらふらしながら駅の階段を上り、改札を出る。そのまま自分の家側の出口ではなく、反対に脚を向ける。

今日もホソクと約束していた。反対の出口にはホソクが待ってくれている筈だ。

こんな関係ではあるし、毎回カトクだけのやり取りで素っ気ない。それでもちゃんと迎えて来てくれるし、ホソクが用事がある時はここで待ち合わせになっている。

もちろん、ホソクの家に行く間はそれなりに会話はある。まあ、もう手は繋いでくれないんだけどね。

その短い間の会話が実は楽しみにしていたり。大した会話もないし、殆どが次に日は覚えていないような些細な会話。

でもその会話の中身はまだこんな関係になる前のような、ただの友達同士だった時のようで。まだわたしとホソクは元の関係に戻れるんじゃないか、なんて期待してしまう。





「A?」

「へ……?」


反対の出口に向かう階段を下りようとしたら、名前を呼ばれたと思えば手も取られて、変な声が出てしまう。


「な、なむ……」

「お前、また酔ってるのか?」

「へ?」


まさかまた自分の最寄り駅でナムと出会うなんて。びっくりして何も言えないでいると、ナムがわたしの腕を更に引っ張って近付けさせた。


「お前の家は反対の出口だろう?」

「あ、えっと……用事があって」

「こんな遅くに?」

「えっと……まえ、話してたバイト……」

「本当に?こんな遅くから?やっぱり危ないから止めた方がいいんじゃないのか?」

「でも……」


バイトなんかじゃない。ホソクが待ってるの。だから行かせてよ。なんて言える筈もなくて、どうやってナムを説得させようか困る。


「まあ突然バイト辞めるなんて無理だと思うから、俺が付いて行こうか?」

「え?」

「住宅街だし、こんな遅い時間だと人通りも少ないだろう?危ないから送るよ」

「えーっと……大丈夫だよ?いつものことだから」

「そう言うなよ。俺が心配なんだよ。傍に居させてくれよ」


ああ……どうしようどうしよう。

ついて来られても向かうのはホソクのマンションだし、バイトだって嘘ついてるのがバレてしまう。

そもそもホソクの家に夜な夜な行ってるなんてナムに知られたくない。絶対に止めてくるだろうし、黙ってないと思う。それは困る。


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(プロフ) - aoi****007さん» コメントありがとうございます!確かにお互い敵意むき出しでしたもんね…くさずぺんの方には申し訳ないことをしました。同じ人を好きになった同士なのでそのうち仲良くなってることを祈ります笑 (2020年5月17日 9時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
aoi****007 - クサズペンなので、喧嘩(?)してるところが、凄く複雑な気持ちだったけど 凄く面白かったです! (2020年5月16日 13時) (レス) id: 3e8c59420d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 六花さん» 初めまして!ホソクペンの方にそう言って頂けてとても嬉しいです。長編ホソクさんは初めてだったので不安もありまして。わたしの大好きな色気だだ漏れホソクさんを感じ取れたということでしょうか?ありがたいです!懲りずにまたホソクのお話書ければなと思います! (2020年5月15日 0時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ナムさんとの三角関係も拗れてもどかしくてもう胸がぎゅんぎゅんしました。素敵な作品をありがとうございました。長文失礼致しました。更新お疲れ様でした…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!いつも小説楽しませて頂いております。当方ホソクペンなのですが、不意に出るホソクさんの色気が藍さんの小説でめちゃくちゃに昇華されていて魅力が詰まりすぎていました…! (2020年5月13日 15時) (レス) id: c1142a0fe4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年5月2日 12時

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