貴女しか要らない II

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…もう、こんな関係



あの子のためにも、そして 私のためにも

やめてしまった方が、いいんじゃないか。




…ずっと、そう考えてる。

最近、ずっと。






だって、抑えきれない。


私の中にある、……もう一人の、あたし。




ジョングクの中に、もういない“あの日”のジョングクを探して

…獰猛に、彼を いたぶってしまう


そんな私の、欲望。


…惨めな、欲望。



でも、それが

不安定なあたしの、ほんとの姿。







まだ、その先に起こることを何も知らずに


無邪気に笑って、触れて、愛してた。




あの日から




婚約指輪のクリスタルが、粉々になった あの日から





あたしは、ジョングクに 罪を負わせて


あたしの鎖で、がんじがらめにした。







真っ直ぐな彼の瞳


歌手として羽ばたく 夢を叶えていく

そんな彼の姿が、好きで



だけど、


そんな綺麗事を並べる私を許せない あたしがいる。







恨んでなんかない。


それでも、あたしがあの子の一番じゃなきゃ、

許せない。



そんな、醜い思いを胸に抱いている。






まだ何も知らない、まっさらな少年を

あたしの好きなように 染めてしまった。




その罪は、死んでも償いきれない。




だけど、死ぬときは



あの子をそばに おいていたい








……いつからか

そんな、無謀なことを思うようになった。







…彼を、本当は

優しい愛で包み込みたいのに


そんな余裕は、どこかへ消えて ちりぢりになった。






もう戻れないから


…もう、戻りたくても、戻れないから

















「…今？家にいるよ」


「…今から？無理だよ、会えない」


「……違うよ、そうじゃない」


「…好きだよ。……でも、今はごめん」


「明日の朝も早いから」


「…浮気なんか、してないよ」


「本当だよ。信じて」


「…うん、また、今度」


「会おうね。約束」


「ね、だから… …今日は、おやすみ」













気付いたら、


立ち上がって





そんな、会話が聞こえる

扉の向こう側









ドアを開ければ、スマホを手に
嘆息しているジョングクの姿


私を見て、疲れたように微笑む。






その肩に、手を掛けて


ぎゅっと、抱きしめる。






ジョングクの戸惑いは、すぐ優しさに変わって


私の背中を、そっと 抱きしめた。









私は、微笑んで














ジョングクの背中に、爪を立てた。






























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