貴女しか要らない II

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「うわっ」


「ふふっ、」


「クソ、俺も仕返し！」


「ちょっ、きゃっ！」


「あははっ！(笑)」







目の前に飛んでくる泡。

ジョングクがその向こうで、子供みたいな笑みをこぼす。



二人で入っても広すぎるくらいのジェットバス。

泡の海で、束の間の戯れ。



手で真っ白な泡をすくって、

ふーっと 息を吹き掛ければ


ジョングクのもとまで、飛んでいく。






「もー、泡だらけだよ」


「後で洗うからいいって言ってたのはジョングクでしょ(笑)」


「それにしてもヌナは手加減無さすぎ(笑)」


「まあね〜？」


「わっ！不意打ちは酷いよ！」




ジョングクは泡だらけになった髪をかき上げて、困ったように笑う。



その笑顔の愛らしさ。


…ふとした瞬間の、男らしさ。

筋肉の付いた腕。


それに目を奪われてしまう。



気付かれないように、微笑みで誤魔化して

ジョングクもまた、笑った。





「ヌナ、こっち来てよ」


「やだ、ジョングクがこっち来るの」


「やだよ、中学生の時みたいじゃん」


「可愛かったな〜、あの頃のジョングク」




「ちょっと、昔の俺ばっかじゃなくて今の俺も見て(笑)」







無邪気な笑顔でこぼしたその言葉に、はっとする。





ジョングクはバスルーム中に泡を飛ばすことに夢中になってる。


…その、愛おしい景色が

どんどん、色褪せていくようで



ジョングクの肌を確かめたくて、


その腕に、触れた。





ジョングクは、驚いたように 私を見て


…どうしたの、と 微笑む。





私の肩を抱き寄せて


その胸に、私を抱きとめて




目を閉じると ジョングクの肌の香り



…ずっと変わらないでいる

その、香りに



頭痛がやっと、治まった。










「……ヌナ」


「…」


「…俺、さ」






ジョングクが何かを言いかける。


ふっくらとした、薄桃の唇。




その頬に触れた。



柔らかくて、白くて、暖かい頬は


…角張って、男らしさを少し感じさせるように 変わっていく。





その刹那、空間を裂くように響く着信音。


…バスルームの外から、ジョングクのスマホだ。





「…会社かな」




ごめんね、と私の頬にキスをして

ジョングクが浴槽から上がる。




その背中も、大きくなったな



……なってしまったな。








そんなこと、考えてしまう私に


無邪気な笑顔のジョングクが、フラッシュバックする。










“昔の俺ばっかじゃなくて、今の俺も見て”










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