貴女しか要らない II

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TH side



病院の人にお願いして、ジョングクの病室はもともと2階にしてもらっていたんだけど


屋上に続く階段や扉への施錠を徹底、

看護師の人には、ジョングクが入浴してる間に部屋をくまなくチェックして、
怪しいものが無いか 必ず確認してもらうようにしてもらった。



俺たちに出来ることと言えば、

ジョングクを励まして、元気にしてあげる。


…それくらいしか、今は出来ないんだ。






騒動の真実を知る人は、ジョングクしかいない。


最初に情報を暴露した男の言ってることが、世間一般では既成事実のようになっている。

そのおかげで、ジョングクのイメージも下降の一方だ。「変な女にそそのかされて、転落したスター」なんて言われてる。…本当に酷い。



俺は、どうしてもジョングク本人が、

あの女の“被害者”と感じているようには思えなかった。



きっとまだ、何かがある。

本当に起きたことは、絶対に違う。



どうにかして、ジョングクの名誉のためにも
メンバーが四苦八苦して 本人から聞き出そうとしたけど


ジョングクはただ、哀しそうに笑うだけだった。






俺たちの活動は停滞したまま、

ARMYからはジョングクを心配する声と、ジョングクに不満を漏らす声が同じくらいに上がっている。


しばらくはユニットやソロ活動で繋ごう、

必ず ジョングクが戻ってくることを信じてやろう。


そう、一致団結して なんとかこの難局を乗り越えようとしてる。




生きていれば、


生きてさえいれば、



それで人生は どうにでもにもなる。



そんなパン代表の言葉を胸に。








ジョングクもきっと、心の傷が癒える日が来る。

そこまで辿り着けるかが、最初の課題だな。





それでもやっぱり、


…たまに 怖くなる。






あの日見た、ジョングクの横顔が。










…変わってしまったんだ、きっと。



あの女の人と、何かがあって。






不安だけが募る毎日。



…それでも、生きてさえいれば だ。


今日も、明日も、ジョングクに会いにいって

少しでもあいつを笑わせたい。




明日はヤンコチでも持って行こうか。

病院でヤンコチなんて食ったら怒られるかな、なんて。




帰路に着く車の中から夜空を見上げる。



最近は雪がよく降るな。





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