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少しまだ、ぎこちないけれど

ナイフとフォークの使い方を覚えているジョングク。


…箸の持ち方すら ままならないまま、
ジャージャー麺を頬張っていた風景が 心に浮かんだ。




大ぶりなピアスも、

よく手入れされた髪も、

また少しだけ広くなった気のする肩幅も


私を不意に見つめる、大きな瞳も。





…変わっていく。









「…ヌナ?」


「ううん、なんでもない」


「美味しくなかった?」


「いや、美味しいよ」


「そっか。よかった」





そう言って、目尻にしわを作って微笑む姿は

…変わらない。


胸を撫で下ろす自分がいた。






不思議だ。


夜景を横目に、こんな豪華な部屋で

ルームサービスと言えど、フルコースに近い料理を味わってる。






「…ね、ジョングク」


「ん?」


「覚えてる?…ジョングクがさ、駅前の公園で、“ちょっと出てきて”って急に電話してきて」


「あ〜、チキンとジャージャー麺食べたとき?」


「そうそう(笑)」


「懐かしいなぁ!美味かったよね。…今じゃこんな料理も食べれるようになったんだよ(笑)」


「凄いね、ほんと」


「はは… ヌナが喜んでくれるなら俺も嬉しい」




うん、と頷いて ステーキを口に運ぶ。

ジョングクは私の笑顔を確かめるように私を見つめたあと、やっと微笑んだ。






「そう言えばね、今日」


「うん」


「同僚が防弾少年団の話で盛り上がってたよ」


「へえ、そうなんだ」


「今年の大賞はBTSか、EXOかって」


「はは… 凄いプレッシャーなんだけど…(笑)」


「どうして?」


「どうしてって、俺たちそもそも大賞獲れるのかも分からないし、EXO先輩と比べられるなんて… 恐れ多い」


「なんで?ミリオン売ったじゃない」


「それは、そうだけど… 『DARK&WILD』の時も、凄い期待してたけど結果は出なかったから、分からないよ」


「…謙虚なのね、ほんと」


「そうかな」


「そういう姿勢だから愛されるんだよね、防弾は」


「…ははっ、(笑)」


「自分たちの足と、ファンの支えでここまで来たこと、それは紛れもない事実でしょ。もっと自信持っても、いいんじゃない」


「…」




ジョングクは、数秒間私を見つめて

うん、と頷くと



…嬉しそうに、微笑んだ。




その笑顔を見ることが、好き。


感情を上手く言葉にすることが出来ない彼の、

精一杯の 喜びの表現。



昔から変わらない“それ”が


私の心に、元気をくれるんだ。




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ゆちこ(プロフ) - 切なくて心が痛すぎてひたすら泣きました。私は走馬灯を信じてる人間なので・・・最期の幸せなジョングクが私の理想でした。素晴らしい作品に出会えました。ありがとうございます。 (2020年12月13日 12時) (レス) id: bc049b52d2 (このIDを非表示/違反報告)
るるん(プロフ) - 今作品一覧を覗いて気がつきました。遊郭物語の作者さんでいらしたんですね、、まさかまた如月さんの作品が読めるとは、、。遊郭物語で大号泣した日を思い出します。また如月さんの作品に出会えて嬉しいです。ご執筆お疲れ様でした。大好きです。 (2020年11月16日 16時) (レス) id: f74975a042 (このIDを非表示/違反報告)
るるん(プロフ) - 2人には人生を歩みながら幸せになってほしかったです。とても悲しくて心が泣きました。でも、愛が深くて美しかったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年11月16日 16時) (レス) id: f74975a042 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - ナノカさん» お読み頂き、ありがとうございます。お楽しみ頂けているようで幸いです。 (2020年11月13日 22時) (レス) id: a4b66c172a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 如月さんはじめまして。今一番楽しみにしている作品です。続編とても嬉しいです!ジョングクがあまりにも私の中のジョングクで胸が締め付けられながら読んでます。更新楽しみにしています! (2020年11月13日 18時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 | 作成日時:2020年11月13日 18時

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