貴女しか要らない II

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俺はと言えば、どこか 上の空で


ヌナの心地良い声に耳を傾けながら、

青空の向こう側を ずっと見つめてた。


雪が しんしんと降り積もっていく。









「…ヌナ？」








…眠っちゃったのかな。


疲れたもんね。




ずっと、歩いてきたから。









ヌナをぎゅっと、抱き寄せる。













そうだ、確かに


どこからか 愛のかたちを 間違えてしまった




真っ直ぐな恋心が、歪んでしまった





羨望、嫉妬、期待、落胆、歓声



チョン・ジョングクが

いつの間にか JUNGKOOK に呑み込まれて




貴女はそんな俺を

“もう、このままじゃいられない” なんて


…何度も、突き放そうと、
きっと そうしてくれたんだろう。

俺の知らないところで。




だけど、出来なかった。


俺を手放そうとしなかった。




そんな強さと優しさ、

ヌナの中には 無かったんだ。



…俺が愛してた、10年前のヌナにも

俺の理想で凝り固まった、そんな“あの頃”のヌナにも

そんな強さ、本当は 無かったんだろう。



完璧な人間なんて、いない。



でも、そんなヌナで、良かったんだ。







凍えるような寒さも、もう気にならない。


ヌナの真っ白な顔は、どこか安らかだった。




俺も瞳を閉じる。











ステージへの情熱も

名声も 財産も


メンバーへの恩も ARMYへの愛も

家族への感謝も




全て、忘れて 捨てて




そんな、バチ当たりなやつ

それが俺なんだ


不完全で、不安定で


それでいいんだ






…貴女が、いるから。











愛していた。



“今日まで”、ずっと。




明日のことなんて、分からない。


だけど、歩いてきたこの道にある足跡と 同じで

貴女を愛した想いに、日々に、嘘はない。



たとえそれが、汚れていても

誰かを傷付ける愛でも





そして、きっと


明日があるのなら




こんな俺に、俺たちの命に


明日があるなら





俺はまた、


貴女を 愛するんだろう






懲りずに、ね










恋した日の気持ちをそっと、撫でながら




瞳を閉じた。
















ここで、眠ろう




貴女と共に



















“あたしが死ぬ時は、あんたも一緒に死んでよ”











ああ



俺の命は、貴女のものだ







俺には、貴女しか要らない




…世界の果てでも、そう思う









貴女がいれば




貴女さえ、いれば










この腕の中に…


































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