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すると、ヌナが立ち上がった。




月明かりが、その綺麗な身体を照らして

思わず、目が奪われる。




長い髪が、俺の頬に触れた。


ヌナが俺の髪を撫でて、俺の膝の上に座る。




そのまま、俺を抱き締めた。









「…ジョングクは、何も知る必要なんてない」


「…」


「あたしの気持ちも、あたしの心も」


「ヌナ、」


「いいの。……あなたとこうして、いる。それが、あたしの答え」


「…」


「……愛してないなんて、寂しいこと言わないで」


「…ヌナ…?」





心を、一瞬の期待が横切る。

その柔らかい唇が、俺の首筋に触れる。







「……ジョングクはただ、ね」


「…」


「あたしのそばにいて、笑って」


「…」


「…あたしを、抱きしめて」


「…」


「……嘘だっていいから、あたしが一番、そう言って」


「ヌナ、」


「あたしを…」






…貴女が一番だと、言っているのに。

俺を愛して欲しいと、言っているのに


貴女はそれを頑なに信じない。




…それが、

貴女の 脆く儚い心の、本当の姿なの?






ヌナが何か言いかけて、唇を閉じた。


俺はヌナの肩を離して、その頬に触れる。



俺が見上げたその瞳は、やっぱり 潤んでいた。




…捨てられた、猫みたいに


置き去りにされた、子供みたいに。







“あたしを…”







さっき、ヌナが言いかけた言葉。


…ヌナの本心が、見え隠れする。




不器用な貴女だから。

そして、不器用な俺だから。



…わからないことを、わからないままにして

束の間の快楽にだけ、身を浸して


それでしか、気持ちを届けられない。





貴女に恋する気持ちが、薄れていく。


…何度も、そう感じた。

だけど、離れられなかった。



俺は貴女が欲しくて、

貴女は俺が欲しい。



…それだけ、なんだろう。






その柔肌を抱き寄せ、口紅が残る唇に 口づける。




貴女は何も言わない。


俺はまた、キスをする。









「……おいていったりなんか、しないよ」


「…、」


「…ね、ここ、触って」






その小さな白い手を、俺の左胸に当てる。



ヌナが微笑む。

だから、俺も、笑う。








「…俺の、ここの半分は、貴女のものだ」


「…ジョングク」


「ね?……一緒に、行こうよ。どこまでも」


「…」


「約束、忘れてないから、さ」


「…」


「…一緒に生きてよ。最後まで」





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ゆちこ(プロフ) - 切なくて心が痛すぎてひたすら泣きました。私は走馬灯を信じてる人間なので・・・最期の幸せなジョングクが私の理想でした。素晴らしい作品に出会えました。ありがとうございます。 (2020年12月13日 12時) (レス) id: bc049b52d2 (このIDを非表示/違反報告)
るるん(プロフ) - 今作品一覧を覗いて気がつきました。遊郭物語の作者さんでいらしたんですね、、まさかまた如月さんの作品が読めるとは、、。遊郭物語で大号泣した日を思い出します。また如月さんの作品に出会えて嬉しいです。ご執筆お疲れ様でした。大好きです。 (2020年11月16日 16時) (レス) id: f74975a042 (このIDを非表示/違反報告)
るるん(プロフ) - 2人には人生を歩みながら幸せになってほしかったです。とても悲しくて心が泣きました。でも、愛が深くて美しかったです。素敵な作品をありがとうございました。 (2020年11月16日 16時) (レス) id: f74975a042 (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - ナノカさん» お読み頂き、ありがとうございます。お楽しみ頂けているようで幸いです。 (2020年11月13日 22時) (レス) id: a4b66c172a (このIDを非表示/違反報告)
ナノカ(プロフ) - 如月さんはじめまして。今一番楽しみにしている作品です。続編とても嬉しいです!ジョングクがあまりにも私の中のジョングクで胸が締め付けられながら読んでます。更新楽しみにしています! (2020年11月13日 18時) (レス) id: 59d638975a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:如月 | 作成日時:2020年11月13日 18時

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