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慌ててテテくんの手を離そうとするのに、テテくんはぎゅっと握って離そうとはしない。
『……っ、』
JK「……Aの手、離してやってください」
グクはテテくんを見ながら、私の手を離すように言った。
TH「なんで?」
JK「A困った顔、してるんで」
……ずるい。そういうの、ずるいよ。
わたしのことなんてどうとも思ってないくせに、そんなこと。
今日は、ズキズキ痛いばっかりだ。
テテくんは、私の手を離した。テテくんが悪いんじゃないのに。なんだかとても申し訳なく感じる。
JK「……失礼します」
グクはそのまま私たちの前を通り過ぎて歩いていく。
TH「A、行くよ」
TH「……A?」
テテくんの呼びかけにも答えられず、
わたしは、通り過ぎていった彼を追いかけた。
『……っグク!』
追いついて、私の声に振り向いた彼は、
前よりもすこしだけ前髪が伸びたみたいだった。
私たちの間に沈黙が流れる。
「……A、元気だった?」
前みたいな優しい顔でそんなことを言うから、
むかつくくらい好きだと思った。
『うん』
「そっか、よかった」
『……ジョングクは?』
"グク"と呼ぶのはやめることにした。
あれは、ニセモノのわたしだから。
お姉ちゃんを装ったわたしだから。
「……元気だったよ」
『そっか』
何か、言わなくちゃ。
だけど、その何かが出てこなくて。
「A、じゃあね。気をつけて帰って。」
ジョングクは、手をあげて言う。
もう、前みたいなわたしたちじゃないのはわかってるのに。
どうしようもなく、別れが切ない。
『……うん』
私も、同じように手をあげる。
ジョングクは、少し笑ってまた反対側を向こうとする。
『ジョングク!』
「…………」
『……いま、しあわせ?』
「…………」
目が合ったまま何も答えないジョングク。
夜風がわたしたちをやわく包む。
『……わたしは、しあわせじゃないよ』
『ジョングクと別れてから、ずっと』
「……A」
涙が溢れ出てきてしまう。
ジョングクは、わたしに近づいて、
指で涙を拭った。
そんなずるくて、やさしいところが好きだ。
『ジョングク、すきだった。』
『……いまもすきなの。どうしようもないくらい』
『ジョングク、すき……』
『お姉ちゃんのとこ、いかないで…………』
今日のわたしはニセモノじゃなくてホンモノ。
* *
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月野(プロフ) - ふゆさん» ありがとうございます。ドキドキハラハラ四角関係?みたいなのとはすこし違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです(^_^) (2018年11月17日 12時) (レス) id: a5e5b03616 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - テテくんの登場にドキドキです。続き楽しみにしています! (2018年11月10日 14時) (レス) id: 8d7e35afef (このIDを非表示/違反報告)
月野(プロフ) - 里珠さん» 読んでくださりありがとうございます!続き書くの遅くて申し訳ないです…できるだけ頑張ります〜! (2018年10月23日 16時) (レス) id: a5e5b03616 (このIDを非表示/違反報告)
月野(プロフ) - もぐらさん» 読んでくださりありがとうございます!映画やドラマだなんて恐れ多いですがとても嬉しいです。また更新頑張ります! (2018年10月23日 16時) (レス) id: a5e5b03616 (このIDを非表示/違反報告)
月野(プロフ) - (名前)レンさん» いつもコメントありがとうございます!また更新頑張りたいとおもいます(^_^) (2018年10月23日 16時) (レス) id: a5e5b03616 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月野 | 作成日時:2018年3月23日 20時