【完】ニセモノの恋をはじめましょう JK

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＊ ＊


帰ってきてから、ほとんどの時間を部屋にこもって過ごした。
もともと、一人暮らしする前もひとりで部屋にいることが多かったから、親もお姉ちゃんも、何も言ってこなかった。

家に帰ってきたというのに、こんな気分じゃどこかへ行く気も起こらず、
ただ自分の机で、夏季休暇の課題をする。


ふと気がつくと、三時間も経っていて、自分の集中力に驚く。
シャープペンシルを置いて、ぐっと伸びをする。

『……あー、つかれた』

本当に。
何もかも。




すると、トントンと階段を登る音がして、
そのあと隣の部屋のドアの開閉の音を聞く。


隣はお姉ちゃんの部屋。


何やら、話し声がする。
…………多分、グクだ。


また、すこし泣いてしまいそうになる。
どうして来るの。
忘れてしまいたかったのに、また、心がずきずきして、この気持ちを忘れられなくなってしまう。



たてたくもないのに、聞き耳をたててしまう。




「ねえ、グク。キスしよう」


聞き慣れた声が、包丁がまた私の心臓に飛んでくる。



「はい」



…………壁は厚くない。
何もかも聞こえてしまう。

きづけば、わたしは逃げるようにして家を出てきてしまった。




『…………はあ、』


公園のすべり台のした。
座り込むと丁度いいスペースで、昔からお気に入りの場所だった。


はやく、一人暮らししている部屋に戻りたい。
お姉ちゃんとグクは付き合ってるんだから、家を行き来するのは当たり前。
わかってるのに。


『……そんなのわかってるのに、来ないでって思っちゃうよ……』


こんな思いはもうぐちゃぐちゃにしてゴミ箱に捨てちゃいたいくらいだ。




「みーつけた！」





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