【完】ニセモノの恋をはじめましょう JK

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時間はいつの間にか過ぎて、そろそろ帰ろうかってなった。
駅まで二人並んで歩く。

ジョングク君の方から手を繋がれる。


この、手に意味なんてなくて、
ただ私もすこしザラザラした手を意味もなく握り返した。




別に体温が冷たいわけでもないのに、
その手に温度は感じられなかった。









駅に着くと、ジョングク君は手を離してから

「じゃあ」って言ったから。

私も手を振ろうとした。


しかし、その瞬間抱きしめられた。


『……じょ、』




気づいた。
いま彼が抱きしめているのは私ではなく"先輩"だって。
私を"先輩"と呼ぶなんて馬鹿なことはしなかったけど、私にはわかった。
虚しい気もしたけど、傷つきもしなかった。
だって、私も彼に恋心など抱いていないのだから。



身体を離すと、彼はごめん、と言った。



『……いきなりでびっくりしちゃった(笑)』




気づかないふりをしてあげる。

だから、きみもわたしに利用されてくださいね。







『あのさジョングク君、私と付き合わない？』


『ひと目見たときからかっこいいなって思ってたんだ』


『今日話してみたら案外気も合うみたいだったし、ジョングク君さえよければ、彼女にしてほしいな』





ほぼ、ウソ。

思ってたよりもわたしは汚い人間みたいだ。









「いいよ、付き合お」


「ジョングク君じゃなくてグクって呼んで」






だけど笑ってそう言ったジョングク君もわたしと同罪だからね。








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