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「……使ってるシャンプーの銘柄教えてあげようか?」
今の状況が意味分からな過ぎて、絞り出た言葉はそんなことで。テテが小さく笑ったのが分かった。
「いいや。Aから香るのが好きだから」
「そう、なんだ……」
「うん」
いや、うん。じゃなくて。本当にこの状況は何?なんでわたしテテに抱きしめられてるの?
「あの、テテ?」
「もうちょっと」
力を入れてテテの腕から逃れようと身体を動かすけれど、それを押し込むようにさらにぎゅーっと抱きしめられて固まる。
「もうちょっとって……」
「やっぱりAの傍は落ち着く」
抱きしめられたままテテが転がるから、横向きになる。そのまま少し身体を下にずらして、わたしの首元に顔を埋めてきた。
さらさらとしたテテの髪の毛が顔に当たってくすぐったいし、もう寝るだけだと首元緩んだTシャツを着ていたから、露出した肌にテテの息が当たってどきどきする。
「テテ……緊張してるの?」
「そう、かもしれない。監督に明日も俺スターティングメンバーだって言われて。最初からコートに立つのは今日が初めてで。始めは緊張で思うように身体が動かなかった」
「そんな風には見えなかったよ。わたしびっくりしたもん。テテってこんなに動けるんだって。ユンギ先輩とのコンビネーションもしっかりしてて、ちゃんとチームに馴染んでるって思ったよ」
こうやって甘えてくるテテは初めてではない。
初めてではないけれど、ここまで密着することがなかったからびっくりしちゃう。それに勘違いしちゃいそうになる。
でもテテは不安なだけなんだよね。明日は決勝だし。きっと今日より緊張してるんだろう。
そんな自分の弱さを誤魔化すためにわたしに甘えているっていうのはなんだか複雑だけれど。でもそんな弱ってる姿をわたしには見せてくれるっていうのは嬉しい。
「大丈夫だよ。テテはきらきら輝いてて、とっても楽しそうにバスケしてた。明日も今日のようにやれば問題ないよ」
そっと手を伸ばしてテテの頭を撫でる。
このままわたしも抱きしめ返したかったけれど、それだと気持ちが抑えられないような気がしたから。
だから落ち着かせるためにひたすた頭を撫でた。
「大丈夫、大丈夫だよ」
「うん……」
更にぎゅうっと抱きしめられて少し苦しいけれど。テテがそれで安心するならこうやって抱きしめられていようと思う。
「明日もいっぱい活躍するよ」
だから何も心配しないで。
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藍(プロフ) - ringo3さん» お返事遅くなってしまってごめんなさい!まだまだ終わりが見えないお話なので、そう言って下さってほっとしてます。当分終わりませんのでお付き合い下さいませ。そしてユンギ先輩のメイド姿のお話まできました〜可愛いく仕上がってるといいのですが! (2020年6月25日 3時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
ringo3(プロフ) - はじめまして!いつも更新楽しみにしています!めっちゃなっがーいお話読み応えあって大好きです!w最近特にゆんぎがかわいくてしょうがなくてwwwゆんぎのメイド姿に期待してますね〜! (2020年6月20日 22時) (レス) id: 0915cfb15f (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - みきさん» あっという間の100話でした。ユンギ先輩のメイド話はしっかりと書きますので!!笑 次回からは学祭のお話がメインになりますので、お楽しみ下さいませ! (2020年6月16日 20時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - bonbonsさん» ナムさんが推しだったのですね〜お待たせ致しました!みんな素敵ですか?嬉しいです。彼らと過ごしたい理想の青春を詰め込んだお話になっておりますので、そう仰ってくれるのが本当に嬉しいです。これからもきらきら輝く彼らをお届けできたらと思います!! (2020年6月16日 20時) (レス) id: 7c0b28e720 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 100話お疲れ様でした!ユンギのメイドなんて絶対可愛いですよね!このお話も読めるのかなぁと思うと楽しみです! (2020年6月15日 5時) (レス) id: 9241d89c9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2020年5月30日 15時