送ってくれるんです ページ12
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最寄駅に着くと私はナムジュンと向かい合う。
「今日はありがとう。楽しかった!また誘ってね」
そう言って私は家路に向かおうと背中を見せる。
「待って」
「うん?」
「家まで送るから」
そう言うと彼は私の前を歩いていく。
前を歩く彼の後を追って隣を歩く。
彼の歩幅に合わせて歩いてみるけど、なぜかいつもより速度が速い。不思議に思って彼の顔を盗み見るとどこか緊張した面持ちだ。
彼と目が合うとハッとして歩く速度を緩めた。
(あ、いつもと同じ)
私のいつも歩くスピードに戻る。
家の前に到着すると、彼と向き合う形になる。
「送ってもらっちゃってごめんね。」
「いや、俺がしたかったからしただけだよ」
「ありがとう」
沈黙が始まる。
どうしよう、何か話さなきゃ…!
「Aヌナってさ」
「ふへ?」
急にナムジュンの方から声がかかって変な声が出てしまった。
「じゃなくて今日楽しかった。急に誘ったのにありがとう。」
「ううん、こちらこそありがとう。私も楽しかった。またいつでも誘ってね」
また沈黙が始まってしまった。
私が立ってるからダメなんだよね。
そう思って中に入ろうとすると彼が私の腕を掴んだ。
「ナムジュン?」
「あのさ、今度一緒に出掛ける時は俺の彼女として出かけて欲しい」
「あの、それってどういう事…?」
「…俺の彼女になってほしい」
(え…?彼女…?)
思ってもいなかった言葉に動揺が隠せないでいた。すると彼の顔が段々と不安な色に変わっていく。
「ごめん嫌だよな。さっき言った事は無かった事にしていいよ」
スッと掴んでいた私の腕から手が外される。
「ち、ちがう!!」
「ヌナ?」
「そ、そうじゃなくて。あの、えっと、その……」
小さく頷く。けど、あまりにも小さい動きだから彼に届いたのか分からない。それでも彼は再び私の手を掴む。
「ごめん、俺自惚れていい?」
「…うん」
やっと出た言葉。
私の声と同時に彼が抱きしめてくれる。
「やべ、嬉しい…好きだよ、ヌナ」
抱きしめられながらハッキリと発されたその言葉は私の耳にこびり付いて脳内を駆け巡る。
そっと彼が離れると今度は手を握られ私に向かって笑顔を向ける。
「やっと、届いた」
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作者名:でで | 作成日時:2014年12月28日 18時