土曜日がやって来たんです ページ11
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インターホンの音が鳴る。
慌てて玄関に向かうとナムジュンの姿がそこにあった。
「お待たせ。忘れ物ない？」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ行こっか」
彼の隣に並んで歩く。いつもより距離が近い。
「急にごめん」
「ううん！ヒマだったから誘ってくれてよかった」
「ならよかった」
なぜかお互い沈黙。一体どこに向かっているんだろう。
まだ詳しい場所は聞いていないため気になってしまう。
「花火好き？」
電車の中でやっと沈黙が無くなる。
「花火？好きだよ」
「これから花火見に行こうと思ってたんだ。ヌナが花火好きか電話が終わってから気づいてさ。嫌いだったらどうしようかって思ってて…笑 けど好きって聞いて安心した。」
彼の心遣いに胸が暖かくなる。そしてまた"好き"が膨らむ。
「やっぱり大きな施しがあると人が多いね」
花火大会の会場に着いてその人の多さに驚愕。この多さだとはぐれてしまいそう。
そんな事を考えていると私の手に温もりが感じられた。
手元を見ると彼に手を握られていた。
「はぐれないように」
彼の顔を見ると少しだけ顔が赤く染まっていた。それを見て一気に私の顔も熱を帯びる。
「わあ！すごいキレイ！」
花火が一発打ち上げられ夜空にキレイな花が咲く。かなりの迫力に思わず声が漏れた。
「ナムジュン見て！」
「うん、すげえ迫力」
彼もその花火の迫力に口が開いてる。
花火そっちのけで彼の顔を見ていると私の視線に気づいた彼がこちらを見る。
私が何か言いたいのかと思ったのか、彼の顔が近づき耳を傾けた。
「え？」
私の声に気づいた彼はやっと今の状況を理解した様でサッと離れる。彼の横顔を見ると頬が微かに赤く染まっていて私まで赤くなる。
お互い無言のまま花火を見つめていると、また手に温もりが感じられる。
見るとナムジュンの手が私の手を覆っていた。
彼の大きな手に胸が締め付けられる。
一時間して花火の打ち上げが終わる。
私たちは人混みに混ざるように電車に乗った。
電車は混雑していて立っているのがやっと。ドア付近にいた私たちは押しつぶされそうになっていた。
するとナムジュンに腕を引かれ抱きしめられる様に隠された。
「少しだけ我慢してて」
あまりの近さに恥ずかしさが募る。
チラッと彼の顔を伺うけど彼は何とも思ってないみたい。
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作者名：でで | 作成日時：2014年12月28日 18時
