コンビニの店員はBTSを知らない (ページ3)

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いつの間にか何も感じなくなった。

何故か悲しくて、寂しかった。

向けられる好意の気持ちに嫌悪を抱き始めたのはいつからだろうか。

――――最初に見つけたのは俺だ

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その日は土砂降りの雨だった

なんとなく一人になりたくて夜道をフラフラと徘徊していたその時、急に雨が降った
凌げる場所が無いかと辺りを見渡す。人気のない道路の奥にポツンと光が見えた
　

こんなところにコンビニなんてあったんだな

弱々しく光る明かりのせいか殺風景なこの道沿いに建っているくせに存在感がない
しかしそこしか当てのない俺は光を頼りに歩いた

――ゴミ袋を片手に持ち店から出てきたあいつが、びしょぬれの俺を見て目を見開いたその顔はいつまでも忘れない―――

　初めての出会いだ

「タオル持ってきます」

ドンと音を立ててでかい袋を下に置いたあいつはせわしなく店内に戻るとすぐにタオルを抱えて戻ってきた

「これで拭いてください」

そういってタオルを差し出す
俺はその手を何とも言えない感情でながめた

「使いまわしですけどちゃんと洗濯してるんで、きれいですよ」

放たれたその言葉に俺は久しぶりに声を出して笑ってしまった
タオルから目線を上げてあいつを見ると、眉間に皺を寄せて俺を見ている

他人から差し出された物を触ったりすると知らないところで売られていることがよくある
そういったことをする人間は目を見ればたいてい分かるものだ

あいつからはそういうモノは何も感じなかった

純粋に俺を心配している。差し出されたその手は好意の手だった

俺のことを知らない

ただそれだけで、気持ちが軽くなった