伝えられなかった真実 ページ42
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肩に預けていた顔を上げる彼と目が合う。
YG「A」
「はい」
心地良い低めの声で、ゆったりと呼ばれた名前。
真っ直ぐな目で見つめてくる彼は、どこか緊張していて
YG「誕生日だからさ…もう少し、我儘言っていい?」
「…なんでしょう」
YG「…こっちに、韓国に戻ってきてくれないか」
「けど、留学は…」
YG「いや、そうじゃなくて…」
言いずらそうに話す。
大丈夫だと安心させるように、彼の両手をそっと握る。
YG「…環境も変わるから、負担になるならいいんだ。Aの体調と子供の事が第一だ」
「はい…」
YG「ただ俺としては、仕事の事もあるから日本に自由に行き来できる訳じゃない。
だから、少しでも安心できるように、何があっても直ぐ傍に入れるように、俺の近くにいて欲しい」
「…はい」
YG「……、結婚しよう。
順番は逆だし、このタイミングで言われたらまるでしょうがなく言ってる感あるかもしれないけど。全くそんなことはない」
愛してる事には、変わりない。
そう目をそらすことなく言ってくれた彼は、コツンと額を重ねて、握っている手に少しだけど優しく力を入れた。
「…っ、…傍に、居させてください……」
私も、子供を授かったからだけでなく、ちゃんと彼の事を愛していると言う意味を込めてそう伝えた。
けれど子供を授からなければ、結婚はしてなかったかもしれない。
考えたくもないけど、もしかしたら別れていたかもしれない。
でも、私達は今、傍に居ることを望んでいて、この子は私達の間に来てくれた。
その事実には変わりなければ、誰も私達の関係を否定する必要はない。
YG「…ありがとうッ、」
お礼を言いたいのはこちらの方だ。
逃げ出しても良かったのに、愛してくれて、受け入れてくれた。
YG「__…사랑해」
彼の誕生日なのに、こんなにも私が貰ってばかりでいいのだろうか。
「…私もです、…愛してます」
額を合わせたまま、目を合わせて彼に伝える。
彼は幸せそうに笑い、鼻先をくっつけた。
伝えられなかった真実を漸く彼に述べ、2ヶ月間伝えられなかった言葉を確かめるように伝え合った。
「ユンギさん」
YG「ん?」
「…誕生日、おめでとうございます」
もう少し、ちゃんとした誕生日を迎えて欲しかったのに…。
YG「…もう十分すぎるよ」
彼はそう言って笑って、優しく唇に触れた。
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ななな - ユンギとの子供…喜んで笑笑笑 (2022年10月12日 2時) (レス) @page36 id: 99a1458b51 (このIDを非表示/違反報告)
キム・カズ(プロフ) - みくさん» コメントありがとうございます!私もムフムフ言いながら想像して書いておりました…(灬・ω・灬)只今進展に悩んで降りまして、この小説を初めてもうすぐ1年が経つというのに…申し訳ないないです。ご覧に頂いている皆様の為にも足りない頭で頑張らせて頂きます! (2022年3月1日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます〜!!!遅ればせながら、読ませていただきました♡黒スキニーに黒シャツ、黒カフェエプロンのゆんぎさん想像しただけでカッコいいです〜_:(´ཀ`」 ∠):続きがとても楽しみです♪ (2022年2月28日 6時) (レス) @page30 id: 23482d6195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キム・カズ | 作成日時:2021年2月3日 2時