君と恋の途中.。BTS短編集*2 (ページ43)

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無愛想で良かった。

私の前で笑わないままで良かった。

…だってあんなに素敵な笑顔をする人だなんて、知らなかったんだもん。

「最初の頃は無口だし絶対この人とは仲よくなれないって思ってたのに、実は優しいとか、そんなオチいらなかった」

「…いや、え？何」

「返答早いし気まずくなるし人に興味なさそうだし、でも」

…でも、

誰よりも優しくて、笑顔が可愛くて

…誰よりも素敵だったじゃない。

「…好き、だった…」

「…過去形？」

「…そーいうことにしておく」

…結局本人に言っちゃうあたり

バカだわ、私。

今日はヤケ酒でもしようかな。明日休みだし。

冷たい風が頬をさす。ああ、寒い

「…残念だな」

「何が？」

「俺も愚痴っていい？」

「どうぞ」

「…パクAの馬鹿野郎」

…は？

「いきなり失恋したかと思えば愚痴ついでに告白とは何事ですか」

「…いや、あの」

「最初に会った時から変な奴だとは思ってたけど、ここまでとはね」

「…悪口？」

「勝手に自分の中で終了にしてんなよ、過去形じゃなくて
　…俺だけ進行形とか、虚しすぎだろーが」

…何？

それ、初めて聞いたし

…私だって過去形じゃないし

「…好きだって今更言っても遅い？」

遅くない、遅くないよ

「…好きです」

「…うん、俺も」

離れていた距離がだんだん縮まる。

寒いはずなのに、いつの間にか暖かくなっていた。