38 ページ38
.
『…はあ、はぁ…ねえ、まだ着かないの?』
「ううん、もう着くよ」
ジミンが見せたいものがあると言って連れてきてくれた場所。
それは、トンネルのようになった木々を抜けた先にあった小屋だった。
『…何ここ?』
「歩いてたら見つけたんだよね、いつ見ても誰も居ないしさ」
おばさんの家から近いけど、こんな場所になってるなんて知らなかった。
扉には鍵は付いてなくて、扉を引くと生活感のないざっ風景な室内。
誰もいないっていうわりには埃は殆ど無いし、綺麗なカーペットだって敷いてある。
『これ、入っていいの…?』
「まー、怒られたら謝ればいいよ」
『じゃあ…いっか』
外は風もないのに相変わらずの蒸し暑さで、木の下に行かない限りは日陰も無いから正直くたくたで。
座って休める場所だったらどこだっていいと心の中では思ってた。
椅子やソファーは無いから、壁に寄りかかるように並んで座った。
鞄から出した水を喉へと流し込む。
見えなくても、隣からもペットボトルの音が聞こえる。
『あっつ……』
「…僕さ、この間人生初めて告白をされたんだ」
『………え?』
あまりにも突然過ぎるカミングアウトに、私から出た声はかなり素っ頓狂だった。
「でも、話したことも殆ど無くて、なんかビックリしちゃった」
『…へぇ……』
驚きと、また別の感情がぐるぐると混ざり合う。
告白なんて私はされたことがないし、どんなものなのかもいまいち分からない。
でも、だって。
私は確かにジミンと長い間仲良くしてるけど、結局会えるのは1年の間で1ヶ月だけ。
学校の子はほぼ毎日のようにジミンに会ってる女の子が沢山いる。
ジミンの魅力に気づく人がいる事なんか、おかしくもないのに…。
『……付き合ったの?』
「いや、あんまりよくその子のこと知らないし…」
『じゃあ、断ったんだ』
「うん。それに、付き合ったら他の女の子と遊べなくなっちゃいそうだし」
ジミンの言葉に思わず笑ってしまう。
『なんかジミン、今のチャラい』
「そう?」
『だって、他の女の子と遊びたいから付き合うの断ってるみたいじゃん』
口元を抑えてくすくすと笑うけど、ジミンは私の顔を覗いて口元を緩めた。
『え、…なに?』
「女の子のAちゃんと、遊ぶためって言ったら引く?」
.
439人がお気に入り
「BTS」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです!これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💕 (11月9日 0時) (レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:130号室 | 作成日時:2022年10月1日 0時