２８ ページ28
.
「白もシンプルで良いね」
『ジミンに似合うっていうか…その小さいのしか取れなくて』
折角努力して取ってくれたジミンと、単純に下手で1番小さいのしか取れなかった私。
ちょっぴり申し訳ないと思ってしまった。
「……ヨーヨーって、どれくらい保つのかな」
ジミンは私の取った白いヨーヨーを視線に合わせるように持ち上げて、くいっと口角をあげた。
『こういうのって、1日限定じゃない？』
「…そっか。Aちゃんから貰った大切な物だから、ずっと残しておきたかったのに」
『…、大袈裟だよ』
「それくらい嬉しいってことだよ」
薄暗い空間でも細くなった目と綺麗な歯がくっきりと見えた。
金魚掬いは、意外にもジミンが不得意で。
「っ、あー…クソ、ダメだ」
敗れた紙を見てぎりぎり聞こえた言葉。
昔とは違う荒い言葉に男の人という感じがして、何だかドキドキする。
「Aちゃん上手いね、それ持って帰るの？」
『おばさんが金魚とったら欲しいって言ってたの。
だからあげようかなって』
「そっか」
2人で肌がぴったりくっついたまましゃがんで、元気に泳ぎ回る金魚を見つめた。
『…寂しいかな』
「え？」
『あっ…ほら、金魚。
捕まえたら残ってる他の金魚が悲しいのかな…って…や、やっぱ何でもない』
自分で言ってて子供みたいだなって小っ恥ずかしい気持ちになってしまった。
だけど、ジミンはそんな私に笑うこともなく、きゅっと眉を下げた。
「……そうだね、
でも、残った方のことは考えなくていいと思うよ。
戻してあげようかなんて迷ってたら、変に期待ちゃうよ、残ってる金魚も」
『…ジミン、？』
ジミン…それは、金魚の話だよね…？
私の呼びかけに、ハッとするように何度か瞬きをしてからまたさっきのように柔らかく笑った。
「でも、金魚も飼われる方が幸せだと思うよ」
『…そうかな』
「うん、そうだよ」
水の入った巾着の中で泳ぐ小さな金魚。
結局この子が幸せかどうかはこの後の飼い方次第になる物だと思う。
だからこそ、ジミンの言葉は私には理解できなかった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 439人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「BTS」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リンゴ酢(プロフ) - ほんっっとにこの作品大好きです😭🫶🏻💕ずっと読んでいたいぐらい文章が素敵で感動でしかないです....💞130号室さんの作品大好きです！これからも楽しみにしています🙇🏻♀️💕 (11月9日 0時) (
レス) @page46 id: 5c0db9e802 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - mmne08171さん» mmne様読んでいただきありがとうございます😢✨ジミン帰ってきてくれーー😭あと数話ですが最後までお付き合いどうかよろしくお願いします💖 (2022年10月22日 21時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
mmne08171(プロフ) - ジミン…どこ行っちゃったのー泣 すごく引き込まれました✨何とも言えない感情です🥲 (2022年10月22日 11時) (レス) @page40 id: 71162c9e08 (このIDを非表示/違反報告)
130号室(プロフ) - Suzyさん» Suzy様読んでくださりありがとうございます✨大事に大事にと作ってるお話なのでそう言っていただけて嬉しいです😢💖最後までどうかお付き合いよろしくお願いします💐 (2022年10月15日 23時) (レス) id: e48cc29190 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - 切ない···涙出ました。情景が···すごく好きです🌿🥲めちゃくちゃ楽しみです✨🥲🍀 (2022年10月15日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：130号室
| 作成日時：2022年10月1日 0時
