5。 ページ5
.
.
目を開けると視界に入った真っ白な天井。
……あれ…俺、どうして……
『スニョン!?大丈夫!?』
目に涙を浮かべた母さんが、
体を起こした瞬間抱きついてきた。
「…ここは…?」
『病院よ!あなた道端で急に倒れたって聞いて…でもなんであんなところに…!それに警察の方も一緒で母さん何がなんだか…!』
警察………
そうだ、俺…事務所で……!!
「母さん!俺、なぜか事務所に入れてもらえなかったんだよ…!前に母さんも会ったことあるだろ?えっと、長身でイケメンのソジュンさん!俺がSEVENTEENのホシだって言っても全然わかってくれなくて!関係者以外立ち入り禁止だって、その一点張りで…!それにメンバーも全員俺のこと気づいてくれなくて、まるで見えてないみたいに!俺、もう何が起きてるのかさっぱりわからなくて……!なあ、母さんっ…!」
母さんは今まで見たことないくらい深刻そうな顔をしていた。
『スニョン、落ち着いて。』
「落ち着けるかよ…!母さんが一番よく知ってるだろ!?俺がアイドルになるために、デビューするためにどれだけ必死にやってきたか…!それなのに、まるで誰も俺のこと覚えてないみたいな、こんなことって…!!」
『…倒れた時に頭でも打ったのかしら……』
母さんの放ったこの一言で、
俺の顔から血の気が引いていくのがわかった。
心臓の音が早くなるのを感じて、病室を飛び出した。
どこでもいい。
なんでもいい。
誰でもいい。
助けて。
この世界はどうなってる?
なんで誰も俺がホシだってわからない?
何が起きている?
.
『痛っ……!』
走っていたら誰かとぶつかってしまった。
「…あ、すみませっ…」
乱れた呼吸を整えながら
軽く頭を下げて、
今度は重い体を引きずるように
ゆっくりと歩き始めた。
どこでもいいから。
なんでもいいから。
誰でもいいから。
早く、早く……!!!
.
.
『待って…!!!!』
階段を上っていた途中、後ろから手を掴まれた。
『この階段、屋上に続く階段です…、あの、』
俺の手を掴んだのは、さっき俺がぶつかってしまった同い年くらいの女性だった。
『な、何か思いつめていることがあるなら話聞きます…、だからその、変なことは考えないほうがっ…!』
「…変なこと……?」
あぁ…俺が青白い顔で屋上に向かっていたから、この人は俺が屋上から飛び降りると思ったのか。
だから、引き止めたのか。
927人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽん - 初めまして◡̈⃝︎ホシを推していて、ホシが好きでこちらの小説を読んだのですが、感動しました。最後のシーン涙が出ました。沢山ある小説の中でこの作品が一番好きです!他の作品も読みたいです。ありがとうございました ; ; (2022年8月20日 15時) (レス) @page36 id: 33f90bf03f (このIDを非表示/違反報告)
じゅな(プロフ) - こんにちは。お久しぶりです^_^この物語に感動いたしましたものです。ストーリーと言い、なんといい、ほんとに作者様の才能がもう…(*´ω`*) 最後には感動して涙が出てしまいました。これからも応援してします!!頑張ってください^_^ (2020年12月26日 14時) (レス) id: c9ab294052 (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - させられました。私ももう1人の平行世界の自分がいるかなとか思ったり。面白かったです! (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - 追加ですみません。一般大学生のホシくんはダンスを始めるきっかけになった。アイドルのホシくんはアイドルのホシとして生きていたら体験できないものを堪能できた。お互い入れ替わって大切なものを手に入れられたんですね...感動。パラレルワールドについて考え (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - はじめまして!みなさん言ってるんですけど中々見ない設定で、タイトルに惹かれて読みました。書き方が上手であ〜と思う場面も多々あったり、感動したりとてもいい作品でした!読めて良かったです (2020年12月9日 19時) (レス) id: 16acb9df05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いよ | 作成日時:2019年5月19日 22時