番外編-4。 ページ40
スニョンの言葉ひとつひとつが胸に響いて、少しあたたかくなった。
『…あの、それで、何で私のことっ、』
「あっ!!ジヒョン!!何で彼女とまた一から関係を築いてくれって、何が!?」
私が聞きたかったことは、スニョンの大きな声の質問によって遮られてしまった。
『えっと、…アイドルのスニョンは、ジヒョンさんのことあんまり好きになれなかったみたいで、その、デート中に怒らせちゃったことがあって、えっと、ごめんなさいって…』
「…そっか、」
『…お、怒った…?』
「…いや、全く」
『…え?』
スニョンからの思わぬ返答に、驚いてしまった。
「俺、向こうの世界に行って、久しぶりに心からやりたいなーって思うこと見つけたんです、」
『やりたいこと…?』
「…ダンス、なんですけど…。みんなが一生懸命教えてくれたこともあって、踊ってる時すごい楽しくて、自分がこんなに踊れることも知らなかったし、なんか日に日に踊れることが嬉しくなってきて、」
あまりに楽しそうに話すスニョンに、私もなんだか嬉しくなった。
「…こっちでもちゃんと習ってみたいなって、そう思ったんです。だから前まで彼女に100%時間使ってきたけど、今後はそうはいかないなって…彼女にちゃんと話して、少し距離置いてみようと思うんです。…なんていうか、向こうの世界に行って考え方が変わったというか、こんなにも楽しいことがあったんだなって、」
『…スニョンさん、なんかキラキラしてるね』
「そんな風に言われると照れますね」
『…敬語と“さん”付け、やめない?』
「え?あぁ、そうです…、そうだね」
以前と変わらぬ口調、
変わらない笑顔、
心地よい空気感、
今までの心のモヤモヤが晴れるようだった。
『あっ!前にね、スニョンが、こっちにいた時にストリートダンスに参加したことがあって!』
私はその時に撮った動画を見せた。
『この時に、このダンスチームによかったら入らないかってすごく誘われてたの!今からでも遅くないと思うからよかったら…』
「ほんとにっ!?うわ、すげえ嬉しい!え、てか俺めちゃくちゃ上手くない…?このダンス見て誘ったのに俺が踊ったら別人ってバレそうじゃない…?」
急に弱気になるスニョンが面白くて、
私は思いっきり笑ってしまった。
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ぽん - 初めまして◡̈⃝︎ホシを推していて、ホシが好きでこちらの小説を読んだのですが、感動しました。最後のシーン涙が出ました。沢山ある小説の中でこの作品が一番好きです!他の作品も読みたいです。ありがとうございました ; ; (2022年8月20日 15時) (レス) @page36 id: 33f90bf03f (このIDを非表示/違反報告)
じゅな(プロフ) - こんにちは。お久しぶりです^_^この物語に感動いたしましたものです。ストーリーと言い、なんといい、ほんとに作者様の才能がもう…(*´ω`*) 最後には感動して涙が出てしまいました。これからも応援してします!!頑張ってください^_^ (2020年12月26日 14時) (レス) id: c9ab294052 (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - させられました。私ももう1人の平行世界の自分がいるかなとか思ったり。面白かったです! (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - 追加ですみません。一般大学生のホシくんはダンスを始めるきっかけになった。アイドルのホシくんはアイドルのホシとして生きていたら体験できないものを堪能できた。お互い入れ替わって大切なものを手に入れられたんですね...感動。パラレルワールドについて考え (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - はじめまして!みなさん言ってるんですけど中々見ない設定で、タイトルに惹かれて読みました。書き方が上手であ〜と思う場面も多々あったり、感動したりとてもいい作品でした!読めて良かったです (2020年12月9日 19時) (レス) id: 16acb9df05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いよ | 作成日時:2019年5月19日 22時