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「まったく嫌なもん見ちゃったなあ…」
さっき撮った俺だけが綺麗にいないパネルの写真を見ながら呟いた。…まぁ、でも何かの番組で話せるネタにはなるかな…
この時はまだこんなことを思える余裕があった。
だって、ありえないから。
この先言われることになる言葉は、
俺にとってありえないことだから。
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2015年、俺はSEVENTEENとしてデビューした。
長年練習生として経験を積み、ずっとデビューを夢見てがむしゃらに走って来た。
走り続けるしかなかった。
とにかくデビューしたかった。
そして、アイドルになりたかった。
デビューしたばかりの頃は今よりもずっとずっと、ずっと必死で、周りが見えないことも多くて、
苦労したこともたくさんあったけど、その日々のおかげで今があるんだと思えば全てが愛おしく感じることができる。
今だって決して楽じゃない。
苦しいことばかりだ。
でもたくさんのカラットちゃんに会うと、
ステージからたくさんの笑顔を見ると
この喜びに代わるものってこの世に存在しないよなって、心の底からそう思えるんだ。
だから俺はこれからもずっと………
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『SEVENTEENにホシはいない』
「………え…?」
自分でもびっくりするくらい情けない声が出た。
そして次に出てきたのは乾いた笑いだけだった。
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俺は事務所に着いてすぐ、いつものように入ろうとして、スタッフのソジュンさんに止められた。
俺は普通に挨拶してなぜか今日実家にいたということを話したら眉間にしわを寄せられて、
関係者以外立ち入り禁止だと言われた。
意味がわからなかった。
「いや、え?あの、理解できないんですけど、」
『その情報どこから手に入れたのか知らないけど、これ以上うちのアイドルに干渉してくるようだったら法的措置をとらせてもらう』
…ほ、法的措置………?
そして目の前で強く締められた扉。
その扉を必死になって叩いた。
「ちょっと誰か!!ソジュンさんおかしいって!!ねえ!なにこれ!?ドッキリ!?なに!!」
どこかにカメラがあってほしいと心の底から思った。じゃないと、この状況をどうしても処理しきれなくて。
その時、事務所の前に黒い車が2台止まった。
いつも俺たちが乗る移動車だった。
最初に降りてきたのはジフンだった。
「ジフナ〜!俺、なぜか事務所に入れてもらえなっ…」
ジフンに近づこうとした瞬間、
後ろからガッと誰かに押さえつけられた。
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ぽん - 初めまして◡̈⃝︎ホシを推していて、ホシが好きでこちらの小説を読んだのですが、感動しました。最後のシーン涙が出ました。沢山ある小説の中でこの作品が一番好きです!他の作品も読みたいです。ありがとうございました ; ; (2022年8月20日 15時) (レス) @page36 id: 33f90bf03f (このIDを非表示/違反報告)
じゅな(プロフ) - こんにちは。お久しぶりです^_^この物語に感動いたしましたものです。ストーリーと言い、なんといい、ほんとに作者様の才能がもう…(*´ω`*) 最後には感動して涙が出てしまいました。これからも応援してします!!頑張ってください^_^ (2020年12月26日 14時) (レス) id: c9ab294052 (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - させられました。私ももう1人の平行世界の自分がいるかなとか思ったり。面白かったです! (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - 追加ですみません。一般大学生のホシくんはダンスを始めるきっかけになった。アイドルのホシくんはアイドルのホシとして生きていたら体験できないものを堪能できた。お互い入れ替わって大切なものを手に入れられたんですね...感動。パラレルワールドについて考え (2020年12月10日 1時) (レス) id: 0c147f983f (このIDを非表示/違反報告)
ままむの盗賊 - はじめまして!みなさん言ってるんですけど中々見ない設定で、タイトルに惹かれて読みました。書き方が上手であ〜と思う場面も多々あったり、感動したりとてもいい作品でした!読めて良かったです (2020年12月9日 19時) (レス) id: 16acb9df05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いよ | 作成日時:2019年5月19日 22時