おれの名前が消えた日。

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「…えっと…！？」

人前で踊ることに対しては
なんの抵抗もないんだけど、

俺が乱入？したことによって
若干おかしな空気になっているこの場で
急に踊るのはちょっと……


「おい！A！！」

笑顔で手拍子してるA
……えぇい！もうどうにでもなれ！！

俺は少しポカーンとしてしまっている観客に向かって手拍子をするよう促し、流れてる曲に合わせて踊った。

俺が踊り始めると。最初は少なかった歓声がどんどん大きくなった。
手拍子も、熱気も、どんどん膨れ上がるのを感じた。

楽しいかもしれない。

そう思った時、観客の中で俺を見ているAと目が合った。

…少し悲しそうな、なんとも言えない顔をしていたのは、気のせいだろうか。


.



『スニョン本当にダンス上手だね！人気アイドルのダンスバトルなんて貴重なもの見せてもらったわ〜！』

なんだかんだ楽しくなってしまって、
結構長いこと踊り続けていた俺を
Aは笑顔で迎えた。

「めちゃくちゃ名前聞かれた…
よかったらチーム入らないかって
すげぇスカウトされた」

『そりゃあんなに上手で、見る人の目を惹きつけるダンスするんだから当たり前でしょ』

「でもこっちの俺は踊れないと思うから濁しておいたけど…」

『あ、それもそうだね』

「でもいきなりあんなことするなよな〜！最初めちゃくちゃ踊りにくかったんだから！」

『え〜！楽しそうだったじゃん！』

「…楽しかったけど！！」

『じゃあプラマイゼロってことで！』


俺はまたAに上手く言いくるめられてしまった。


「…ほんと調子狂う……」

『何か言ったー？』

「何も言ってませーん」

『ねえスニョン、』

「なに？」

『…アイドルって楽しい？』

「…うん、まぁ、」

『…そっか、』

「…それが、どうし」

『あ、着いた！ここ！ここは私がいつも友達と洋服を買いにくるお店です〜！メンズもあったから私がスニョンに選んであげるよ！』


…また。話を遮られて、
逸らされた。

2回目だよ、これ。

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