15。 ページ15
「私が、ジフンに会わなかったのは、」
意識してもらいたかったからだよ。
兄妹じゃなくて。女の子として見てもらいたかったからだよ。
彼女になりたかったからだよ。
WZ『…A、なに泣いて…』
視界が涙でぼやけて何も見えない。大好きで大好きな人が別の人のことを大好きになっていた。こんなにつらいことって他にないと思う。
今は優しく私の名前を呼ぶジフンの声も、可愛いと思ってた鈍感なところも、全部全部嫌いだ。
.
.
彼女のいる前で醜態を晒していることに気がついて、慌ててその場から逃げた。
WZ『A！！』
走って、走って、走って。使えない旧校舎の屋上前の階段まで、全力で走った。
涙が止まらなかった。
こんなことになるなら、離れないで今まで通りそばにいればよかった。
すき！可愛い！って嫌がられても、
呆れた顔をされても、
それでもそばにいればよかった。
…あ、でも、そんなこと続けてもジフンがあの子と付き合うことに変わりはないのか。
その場にしゃがみこもうとした時、後ろから手首を掴まれた。追いかけて来て欲しい時に来なくて、追いかけて来て欲しくない時に来る、
「なんで来たの、」
涙で震える声を隠す。ジフンの前でこんなにみっともなく泣くのは、私がいじめられていた時以来だ。
WZ『そりゃ、追いかけるだろ』
こんな時でも、息一つ乱れてないジフンをかっこいいって思ってしまう。ポンコツな私。
「………私は！ずっとドキドキしてたよ！」
ジフンの手を振り払って、
溜めていた気持ちを吐き出した。
「…ずっと、同じ気持ちだと思ってた」
WZ『………』
「私は、ジフンのことが本気で大好きで、他の人が見えないくらい大好きで、私、馬鹿だから、ジフンも私と同じ気持ちだって、信じて疑わなかった」
WZ『A…』
「でも、兄妹みたいなもんって言われて、近づいてもドキドキしないって言われて！正直すごくショックだった！」
遠くから運動部の掛け声が聞こえる。
今の私たちの周りにある音はそれくらい。
「…だから、だから意識してもらえるように頑張ったの！！会いたくても会いに行かなかったの！Aどうしたのかなって思ってもらいたくて！何かあったのかな、とか、私のことたくさん考えてもらいたくて！！」
ジフンは今、どんな顔してる？
何を思ってる？
全然わからないや。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1426人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るる。 - この物語を読んでから、いつも以上にウジ君が頭から消えなくなりました。最高です。これからも、読ませていただきます! (2018年8月5日 12時) (
レス) id: 05d4b4e0c2 (このIDを非表示/違反報告)
ウジ(プロフ) - 待って待って…………ジアンちゃんめちゃんこムカつくーー！！でもこの物語に出てくるジフナが可愛いからこれからも見にきますね…← (2018年8月5日 1時) (レス) id: 3e4a028e58 (このIDを非表示/違反報告)
美織(プロフ) - 展開が面白すぎ…！！てかジアンちゃん聡明なふわふわかわいい系女子だと思ってたらだんだん悪女感でてて事案ですね。(( ほんとに面白いです！更新楽しみにしてます！！ (2018年8月4日 23時) (レス) id: 44de3c0285 (このIDを非表示/違反報告)
まゆか(プロフ) - いつも楽しみにしてます！！！うじほんとに可愛すぎです、、 (2018年7月31日 13時) (レス) id: 020b3abba6 (このIDを非表示/違反報告)
りりこ(プロフ) - マジで面白いです！ 更新頑張ってください(w^ ^w) (2018年7月29日 15時) (レス) id: d9ed75bc35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いよ
| 作成日時：2018年7月17日 14時
