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「…なに、この手」
酔った私はテヒョンの手を握り返す。
TH『誘ってんの』
「うわー、やだ〜」
私は笑い飛ばしたけど、テヒョンの表情は変わらない。
TH『…ダメ?』
「後悔するよ」
TH『それでいい、後悔でこの気持ちが少しでも晴れるならそっちのがマシ』
「…うちでいいなら」
案外私も軽い女だな。
さっきまでグクが好きー、とか言ってたのに。
うちでいいなら、だって。
TH『じゃ、行こ』
「…うん、」
テヒョンとはバイト仲間。
知ってるのは元カノに未練タラタラってことと、
同い年ってことと、
それから………
それだけだ。
それしか知らないけど、
私とテヒョンは手を繋いで向かってる。
これからすることが何なのかはっきりわかった上で歩いてる。
別れて5日で新しい彼氏作るテヒョンの元カノより、出会って2日でほとんど何も知らない人と、そういう関係になろうとしている私の方がやばいかもしれない。
夜風に当たって少し冷静になった頭で、
やっぱりやめようと何度も思ったけど、
気づけばもう家の前。
早く鍵開けろって催促するテヒョンの横で、今更やめませんか、とは言いにくい。
手を握り返したの私だし。
色んな理由塗りたくってこれからするであろう行為を正当化させようとしている私がいる。
成り行きだもん。
そういう空気だったし。
.
.
TH『…シャワー、借りた』
「ん、」
タオルで髪を拭きながら、
テヒョンがベッドに腰掛けた。
TH『A』
名前を呼ばれて振り向いた瞬間、重なる唇。
TH『嫌?』
首を横に振る。
ほんとにたった一瞬の出来事。
嫌も、何もなかった。
TH『電気、消すよ』
部屋が暗くなって、
私の視線の先が天井に変わった。
どうしよう。
全然嫌じゃない。
私も寂しかったのかな。
ずっと、寂しかったのかな。
.
.
【ガチャ】
その音がして、
一気に血の気が引く。
「ま、待って、テヒョン待って!」
私の服に手をかけようとしていたテヒョンの動きを止めて、
「来ちゃった、グク」
TH『……はぁ!?連絡してなかったの!?今日は来るなとか、なんとか…!』
「したよ!今日は家にいないからねって!」
鍵が開く音がしてから数秒の間に、脳がフル回転している。テヒョンも私も小声であたふたしていて、もうどうにもならない。
ぱちっと電気がつけられて、ご対面。
JK『…え、』
硬直したグクとがっつり目が合う。
TH『はじめまして』
こんな時に呑気に挨拶できるテヒョンはすごい。
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anchun(プロフ) - 本当に面白過ぎます!続きが気になって仕方ないです😭胸がドキドキが止まらないです (2022年3月3日 19時) (レス) id: 487e998396 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - ぬお、、なぜ更新がああああすっごいいいい (2021年5月8日 20時) (レス) id: 6a137e9fb7 (このIDを非表示/違反報告)
_tunputo_(プロフ) - めちゃくちゃ気になるとこで泊まってるぅぅぅうって声出して言ってしまいました。笑 (2021年2月27日 10時) (レス) id: 993cb3d94d (このIDを非表示/違反報告)
ちりちり(プロフ) - この作品が大好きです。 (2020年12月16日 18時) (レス) id: 9e4bd772c5 (このIDを非表示/違反報告)
そわいぬ - この作品1番更新楽しみにしてます。。うう。。( ; ; ) (2020年10月24日 9時) (レス) id: 6e2414b0f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いよ | 作成日時:2018年3月15日 1時