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これ以上悪者になりたくないからか、自己嫌悪に陥りたくないからか、“ごめんね”の四文字が出てこない。
こんな上の空の状態でテヒョンくんと一緒にいていいわけない。
テヒョンくんが選んでくれた映画、買ってくれたチケット、なによりもテヒョンくんが私のために作ってくれたこの時間に申し訳なさが募る。
正直、映画のストーリーも全然頭に入らない。
楽しそうに映画を見るテヒョンくんの横顔に余計胸が締め付けられる。
.
.
TH『おもしろかった？』
「うん、とっても」
映画館を出て、すぐについてしまった嘘。…ごめんね、テヒョンくん。
TH『次は〜…どこ行きたい？』
「テヒョンくんの行きたいところでいいよ。」
TH『…………』
「…あ、ごめん、こういう時任せっきりにするのよくないよね、えっと…」
TH『……俺の行きたいところでいいんだ』
「…え、うん…」
TH『じゃあ、行こ』
行き先を告げられないまま、テヒョンくんに手を引かれて歩くことになった。
無言でずんずん歩くテヒョンくんは、一体どこへ向かっているのか。
歩くこと、数分。テヒョンくんの足が止まった。
TH『…はい、ここ。』
「…バスに乗ってどこか行くの？」
テヒョンくんが足を止めたのはバス停だった。
TH『あと5分くらいで来ると思うから』
「えっと…どこに向かうバス？」
TH『空港』
テヒョンくんの発した言葉に動きが止まる。
「…え……？」
TH『きっと急いで行けば間に合うよ』
「…な、…なんで、空港…」
TH『なんでって…そんなことまで俺に言わせる気？』
繋いでいた手が離れて、合わせていた視線が外れる。人の少ないバス停になんとも言えない空気が流れる。
TH『…ジミンに聞いた。ジョングク、アメリカ行くって』
「…ジミン、くんに…そ、そっか…」
TH『…最初、俺のところに来てくれて嬉しかったよ』
ベンチに座ったテヒョンくんが静かに話し始めた。
TH『あ、俺のこと選んでくれた、やったーって。でも付き合ってるし当たり前か〜って(笑)』
くるっと後ろを振り返ったテヒョンくんは私に隣に座るよう合図した。
TH『…顔見た瞬間、その嬉しかった気持ちが全部すっ飛んだ。』
「…………」
TH『あ、これ、俺を選んでくれたんじゃなくて、選ぶしかなかったんだって。だって、付き合ってるから。俺のところに来る以外の選択肢なかったんだよね？自分の気持ちでここに来たわけじゃなかったよね？』
全て見透かされていた。
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zizzi(プロフ) - ほんと面白くてずっと笑ってました！いよさんの言葉選びが最高すぎて牛乳飲んでなくてもヤバかったです笑楽しくて素敵な作品をありがとうございました！ (2020年8月26日 22時) (
レス) id: 575ff88325 (このIDを非表示/違反報告)
いちご - こんなに良い話を書いてくださってありがとうございます！笑もう終始キュンキュンしまくりでした！恋愛映画の実写化いけるとおもいます！いまもう夜中の3時なんですけど時間忘れるくらい夢中に読んでました！！この作品大好きです！！続編も是非楽しみにまってます！ (2019年5月6日 3時) (レス) id: f99e6b0772 (このIDを非表示/違反報告)
いさな(プロフ) - いやもう一気読みしました笑笑めっちゃおもしろかったです笑笑いま夜中の2時なんですけど、作者さんの他の作品読んできますね笑笑 (2019年3月26日 2時) (レス) id: 1147e61943 (このIDを非表示/違反報告)
つむぎ - 消さないでくださいね。 (2019年1月25日 14時) (レス) id: 811af0af41 (このIDを非表示/違反報告)
カナタ(プロフ) - 最高すぎました。ありがとうございます。他の皆さんが仰っている通りクオリティが高すぎてやばかったです。素敵な作品に出会えたことに感謝です。ありがとうございました！ (2018年12月18日 22時) (レス) id: cfc195a482 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いよ
| 作成日時：2017年12月17日 1時
