さわやかな香りのデビル (ページ9)

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「あー、お腹いっぱい！
　トイレ行ってきまーす」

ぽんっとお腹をたたいて、
トイレに向かったテヒョンを見送る。

テヒョンが帰ってくるまで、携帯で時間を潰す。

「あ、おかえり」

帰ってきた気配がして、携帯から視線を変えた。

「なにしてんの？」

頬杖をついて、じーっと私をみつめている。

「え、ジョングクさん」

「 Aに会えると思って来ちゃった」

さらりと、女をドキッとさせる言葉を
言えるジョングクさんは
いったい何人の女を落としたんだろう。

「私に何の用ですか？」

「会いたかっただけ。また会おうね？」

ジョングクさんはコーラを飲んでから、席を立った。

ふわりとさわやかな香りが漂う。

ジョングクさんの言葉に嘘はなく、
ひとりレジに向かうジョングクさんを目で追う。

店を出ようとしたジョングクさんは、
一度振り返り私と目が合うと、優しく微笑んだ。

「ジョングクさん、かっこいい！」

心の声が出ちゃった、と焦ったけど、
声の犯人は私ではなく、
トイレから帰って来たテヒョンだった。

「いつの間にか帰って来たの？」

「 Aがジョングクさんに夢中の間」

「夢中ではないから！」

「ねえ、勝手に俺のコーラ飲んだ？」

私の返事は聞こえなかったのか、
コーラがなくなってることにしょんぼりしている。

「ジョングクさんが飲んだよ」

そう伝えたら、
次会ったら絶対奢ってもらおう、と張りきっていた。