さわやかな香りのデビル (ページ4)

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「可愛い顔してるんだから、顔あげて」

私の髪の毛を耳にかけた後、
頬をつねられ持ち上げられる。

「いたい、痛い！」

「俺で良かったでしょ？」

彼の瞳の奥は笑ってない気がして、
首を縦にふろうとした。

その瞬間、もっと強くつねられた。
痕になったら、許さない。

「返事は声にだして」

「はい」

「もう遅いけど」

すべての言葉を彼にのみ込まれた。

逃げ場をなくすように
私の腰にまわる大きな手のひら。

私の頬をつねっていた手は
がっちりと後頭部にまわされている。

上唇の次は下唇を。
角度をかえて啄むようにキスをされる。

わざとらしく音をたてて離れた。

「気持ちいい？」

まだキスを終わらせないつもりなのか、
私のことを解放する雰囲気は一切ない様子。

最中に感想を訊かれたことなんてない。

戸惑いながら、正直に声にだした。

「 ……気持ちいい、です」

「まだしてほしい？」

彼の整った顔のせいだ。
まるでアイドルと禁断の恋をしている気分。

波に流されないように、私は言った。

「も、もう十分です」

「分かった。俺はもう行くから」

案外すんなり離してくれて、
驚いたのと別に寂しがってる私もいた。

彼のことなんて知らないし、
何度も襲われそうになったのに抵抗しない私。

一体、どうしちゃったのか自分でも不思議。