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「……まじか」






葬儀から1週間ほど経って、チェヨンが少しとはいえ落ち着いてきた頃。

部活がめちゃくちゃ長引いて、夏期講習に出てたAと偶然帰るタイミングが一緒になって。いつもよりずっと遅い時間だったし、Aは頭が良いから、受験生だし毎日遅くまで勉強してたのかもしれない。







「爆睡かよ…」






僅かに聞こえる寝息と肩に凭れる頭。

俺の最寄りも通り過ぎて、次はAの最寄り。名前を呼んでみるも全く反応がない。流石に起こすかと、肩に乗る頭を上げさせようとした。


だけどどうしてか、寝顔を改めて見たら無性にこのままでいたくなって。離れたくなくなって。俺の指に触れたAの手が温かくて、無意識にその手を握った。


駅名がアナウンスされて扉が開く。
手を握ってもAは起きなくて、俺はただ扉が閉まるのを見届けた。

このまま、どこかへ行ってしまいたい。







「ごめん、俺も寝てた」






結局終点まで起きなかったAに、小さな嘘をついた。本当はずっと起きてたのに。

同じ部屋に泊まることに少し緊張してるのは見てすぐ分かったから、何でもないように振る舞った。勉強するAを眺めてたら、そんな見ないでと睨まれた。おお怖い。







「ユンギいなかったら途方に暮れてた」


「想像できるわ」







そろそろ寝ようとベッドに上がって、至極真剣な表情で言うAを笑えば、顔を赤くして照れ隠しで叩いてきたからひょいっと避けた。

よろけた勢いで乗っかられて、赤い顔をもっと真っ赤にして慌てて退こうとするA。その表情があまりに可愛くて、見ないようにしてた感情が沸々と湧き上がった。


反射的に掴んだ手首は折れてしまいそうなくらい細くて、困惑した表情で俺を見上げる目は潤んでて。

あー、ダメだこれ。可愛すぎ。








「A、」


「んっ……」







ぎゅっと目を瞑ったAの唇を奪ったら、止まらなくなりそうなくらい、愛しさが満ちていった。こいつのことが好きだと、全身がそう言ってるみたいに。

だけどこの手を掴み続けることは出来ないとわかってる。だから最初から握っちゃいけないんだ。








「おやすみ、A」








華奢な身体を抱き締め、眠ったAの額に口付け。

好きだと、心の中でだけ告げた。







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はるまき - すごく面白いです!更新楽しみにしてます!! (2019年2月22日 13時) (レス) id: 6f626689fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayy | 作成日時:2019年2月17日 3時

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