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「早く着きすぎた…」





駅前の待ち合わせ場所に着いたのは、約束の時間より30分も早くて。
何がどうしてこんな早く着いたんだ。


流石にここで立ち続けるのも嫌だと思って、近くのカフェにでも入ろうかと辺りを見回すと。






「…びっ、くりした」


「早いじゃん」






思いもよらず、すぐ隣に立ってた彼。


真っ黒の髪の毛と真っ白な肌。
すっと目を細めて、軽く口の端を上げる笑い方。


ああ、






「久しぶり、A」






やっぱり私にはこの人だけだ。






「久しぶり…、ユンギ」






最後に会ったのはいつだろう。
そんなに前でもないと思うけど。






「何でこんなに早いのよ」


「ん?お前絶対早く来ると思って。俺を怒らせたくないから」


「…むかつく」


「図星?」






愉快そうに笑うユンギを叩く。
見透かされてたのが、悔しいのか、それとも嬉しいのか。きっと後者だ。単純明快。






「ねえ、どこに行くの?」


「内緒」


「なにそれ」


「ちょっとその辺ふらふらしてから行こ」


「え、荷物は?」






ロッカーにでも入れとこうと、ひとりで歩き出しちゃう背中を追いかける。
昔からのマイペースは、何歳になっても変わらないようだ。






「行くか」


「うん」






荷物を駅のロッカーに預けて、人がいっぱいいる大通りの方じゃなくて、裏通りの方の出口を出た後。
先を歩いてたユンギが、くるっと振り返る。






「手、どうする?」


「……」






憎たらしい。だって。






「…いい」


「あっそ」






断ったのに、左手が男っぽい手に包まれて。
顔をあげると、優しく笑うユンギと目が合う。



私が何言おうと、あなたはどうせ見透かして、私の手を握るんだもの。





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はるまき - すごく面白いです!更新楽しみにしてます!! (2019年2月22日 13時) (レス) id: 6f626689fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayy | 作成日時:2019年2月17日 3時

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