海よりも深く (ページ24)

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「んっ、ん……」

「はあっ…んっ、甘…」

触れたところが異様な熱を持って、溶けていくような感覚がする。

壊れ物を扱うみたいに私の肌に触れる手のひらが、あまりにも優しくて。ゆっくり、味わうように、首筋に触れる唇がもどかしい。

「っ、やだ……」

飲まれそうになった理性が、何とか戻ってきて。ユンギの肩を押して、これ以上はだめと首を振った。

もうやめてほしかった。

「それはだめだよ、ユンギ」

「……」

「んっ……ちょ、ゆ…っ」

私の声なんて聞こえてないかのように、深く唇を重ねられて。止めさせようと口を開けば、そこから器用に入り込んでくる舌に溶かされて、結局何も言えない。

…やだよ、お願いだから。
もうこれ以上、私は。

あなたのことを好きになりたくない。

「…んっ、だめだよユンギ」

「A」

「だからっ…！」

「Aのこと、抱きたい」

「っ、なんで…」

伸びてきた腕に包まれて、言葉が続かない。
安心する匂いも、細いのにしっかりしてる腕も、心臓の音も。

ユンギを感じるすべてが、あまりに愛しくて。手離したくなくて。今まで踏み込まなかった一線を、そして今この瞬間辛うじて保たれてる一線を越えてしまえば、きっと余計に辛くなる。

それなのに、わかってるのに。

「お願い、A」

そんな顔をしないで。
泣きそうに、笑わないで。

もう、強がれなくなってしまう。
嘘をつけなくなっちゃうよ。

あなたが欲しいという本音が、溢れて。

「ユンギっ…」

あなたの手で私を、完全に溺れさせてほしいと思った。もう二度と戻ってこれないように。

私が一生あなたしか愛せないように。

体裁も道徳も常識も、すべてを見失ってしまうほどあなたに恋い焦がれた私を、どうか許して。

求めるようにキスをした私に、優しくすると小さく呟いて。ベッドに沈めた私を見下ろすユンギ。ああもう、おかしくなりそう。

「んっ、…」

何度も繰り返して重ねられる唇、身体の上を滑る指先。初めて見た、欲を孕んだ熱っぽいユンギの瞳。

これが本当に最後だと、言い訳をして。
全てを彼に委ねた。

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