すきなものの食べかた：32 ページ32
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「 …そりゃびっくりしたよな、
いきなりあんなことされたら。 」
そう言って小さな外灯に照らされた、
治は、いつものように優しく笑っていた。
小さく、乾いた笑い声を上げて。
彼の笑った顔を見て、ほっとした。
びっくりしたよ、と言えば、またごめんな、って。
ああ、いつもの私たちだ、と安心するも、
まだ私の胸の中には小さな疑問が残っていた。
『 …治、話って、そのこと？ 』
「 …うん、とりあえず謝りたかった 」
『 …そっか、なるほどね 』
疑問は解決したはずなのに、
私の胸のモヤモヤは解決しなかった。
何かが足りない、本当にそうだったの？って。
でも治がそういうわけだし、
しつこく言及するわけにもいかない、
私は今まで通り、治と会話をしながら
そんなことを考えていた。
気がつけば、私の家が見えていた。
久しぶりに治と二人で帰る時間、
長かったような、短かったような。
玄関の前まで来て、鞄から鍵を探す。
「 鍵、見つからへんの 」
『 あ、いや、あった！ 』
後ろからそう声をかけられ、
とっくに見つけていた鍵を取り出す。
なんだか今日は、治と別れたくない、
いつもならこんなことないのに。
『 送ってくれてありがとうね、おやすみ 』
「 うん、じゃあな 」
「 A 」
もう何事もなく、別れると思っていたのに
後ろから名前を呼ばれ、鍵穴に鍵を差し込んでいた手がピタリと止まった。
振り返ると、
ただ真っ直ぐ私を見つめる治と目が合った。
「 “今まで通り仲良くして欲しい”、ってことは、
俺がしたキスの意味も、どうでもええってことやんな？ 」
治の放った言葉の意味がわからなくて、固まった。
なんで、なんでこのタイミングでそんなことを聞くの。さっき、私が今まで通り仲良くして欲しいと言ったとき、治は同意してくれたんじゃなかったの。
「 …じゃあこれからも今まで通り、仲良くしてな。風邪引いたらあかんからさっさと中、入りや 」
それだけ言って、何も言えない私を取り残して、
彼は踵を返して歩き出した。
どういうこと？
なんでそんなこと聞くの、どうでもいいわけがない、どうでもよかったら、私はこんなに悩んじゃいないのに。
とりあえず中に入り、ドアを背にズルズルとその場にしゃがみこむ。
何が友だちだ、話がある、と言われただけで、何か期待をしてたくせに。彼と友だちでいたいと言いながら、本当はもう、そんなこと望んでないくせに。
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うに - すすす素敵すぎてびっくりしました！最後までキュンキュンしながら読みました！ (2021年8月5日 15時) (
レス) id: aca41c32b2 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - こんなにキュンキュンしたのは久しぶりです！本当にありがとうございます。胸が苦しい… (2021年4月19日 11時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 終盤泣きました。最高of最高をありがとうございます(真顔)。 (2021年1月16日 16時) (レス) id: f36e099441 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 初コメ失礼します！！終始キュンキュンしっぱなしでした、最高です！宮兄弟が好きな私にとって最高な作品でした！これからも頑張ってください！ (2018年12月18日 0時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - つくねさん» ありがとうございます〜〜！！そういっていただけてとても嬉しいです；；；； (2018年11月16日 21時) (レス) id: 8b744c9e10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈕
| 作成日時：2018年2月3日 17時
