すきなものの食べかた：30 ページ30
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『 …治、ドリンク飲まん？ 』
落ち着け、頑張れ私、
平静を装って、あくまでも友だちとして
マネージャーとして、普通に話しかけろ、
と、強く念じたおかげか、
久しぶりに彼に発した声は思ったより普通で、
裏返ったりしなくてよかったと少し安心した。
一方、私がいきなり普通に話しかけてくると思っていなかったのだろう彼は、少しだけ目を見開いてこちらを見ていた。
「 …ああ、飲む 」
もし私を拒絶するかのように
断られたり、無視されたらどうしようかなどという思いは、どうやら生き過ぎた心配だったらしい。
今まで通り、彼は普通に私からボトルを受け取り、
その中身を喉に流し込んだ。
話しかけることには成功したけど、
彼が黙々と飲み物を飲む、ほんの少しの
時間が妙に長く感じられて、何か喋らなきゃと
掻き立てられる。
「 …A、あのさ 」
いつもの、あまり抑揚のない声が、
いつもより更に落ち着いて聞こえた気がした
『 …なに？ 』
彼も私に突然話しかけられて驚いたように、
いかにも何かあるような口ぶりで彼が話し始めたので、一瞬動揺した。
「 言いたいこと、あって。
今日部活終わったら、一緒に帰れる？ 」
二人で、
と付け加えられた言葉に、
一瞬だけ、体が固まった。
『 …私に？ 』
「 うん 」
わかった、って、簡単に口が動かない
何を躊躇う、
治と二人だなんて別に初めてじゃないし、
ただ、話がある、としか言われてないのに
『 う、ん 』
「 じゃあ帰り、待っといてな 」
『 ん、あ、頑張ってね！ 』
彼の言うことに対して
まともに返事はできなかったけど、
友だちらしく、コートに戻っていく彼に
そう言うことだけはできた。
ああ、うん、いいんじゃない？
今の友だちっぽかったし、
なんとか久しぶりに会話できたし。
もっとギスギスするかと思ったけど。
やっぱりこういうのがいいんだよね、
そうだ、キスのことも水に流してしまえ、
治、私にちょっかい出したい、とか言ってたし、
まあにしてもキスはやりすぎだけどね、うん。
『 ……… 』
話、って、それは、どんな話だろうか
気づけば私の頭の中はそのことでいっぱいで、
集中力に欠けながらもマネの仕事をこなすうちに
時間はあっという間にすぎ、
もう辺りが真っ暗になった頃、私は練習も片付けも終え、現在部室で着替えている彼のことをまだかまだかと体育館の前で待っていた。
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うに - すすす素敵すぎてびっくりしました！最後までキュンキュンしながら読みました！ (2021年8月5日 15時) (
レス) id: aca41c32b2 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - こんなにキュンキュンしたのは久しぶりです！本当にありがとうございます。胸が苦しい… (2021年4月19日 11時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 終盤泣きました。最高of最高をありがとうございます(真顔)。 (2021年1月16日 16時) (レス) id: f36e099441 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 初コメ失礼します！！終始キュンキュンしっぱなしでした、最高です！宮兄弟が好きな私にとって最高な作品でした！これからも頑張ってください！ (2018年12月18日 0時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
鈕(プロフ) - つくねさん» ありがとうございます〜〜！！そういっていただけてとても嬉しいです；；；； (2018年11月16日 21時) (レス) id: 8b744c9e10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鈕
| 作成日時：2018年2月3日 17時
