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すきなものの食べかた:25 ページ25

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治とのことがあって、帰宅してから
口にした夕食もうまく喉を通らなかった。

お風呂のときも、ベッドに入ってからも、
ずっとボーッとした状態で、
浮かぶのは治の顔ばかり。

唇をなぞって、あのときのことを
思い出せば思い出すほど、
わけがわからなくなっていった。

治はなんであんなことをしたんだろう。




「 …なあ、なあ、 」



隣から聞こえる控えめな声で、
一気に現実に引き戻された。

何事かと思えば、昨日配られた、
一問も解いてない数学のプリントを片手に
侑が私の方を見ていた。


「 一生のお願い、これ見せてや 」

『 …はいはい 』


何が一生のお願いだ、
私があんたに課題見せてやることなんて
日常茶飯事で、その言葉は何度も耳にした。


『 …あ、私もやっとらんわ 』

「 え、お前課題はいっつもやっとるやんけ! 」


いつもあてにしている私が
たまたま課題をやってないからって
微妙に逆ギレされる覚えはない。
そもそもやってないあんたが悪いんだろ。

そうか、昨日は治とのことがあって、
課題のことなんかすっかり忘れてた。


「 …なんか、珍しいな、お前が課題やってへんの 」

『 うん、たまたま忘れとった 』

「 ふーん、そうか 」



「 いや、なんかあるやろ 」

『 え? 』


一回納得したような素ぶりを見せておいて、
もう一度そう言って私に向き直る侑に目を丸くさせた。


「 お前、なんか朝練のときから様子が変やった 」

『 …そう? 』

「 とぼけんなや、なんかいつもより静かやったし 」


“ 治のこと、避けとるみたいやった ”

侑のくせに、普段ヘラヘラして
何もみてないかのように見せかけて、
彼には優れた洞察力がある。

確かに、無意識のうちに、朝練のとき、
私はあまり治の近くにいないようにして、
目も合わないようにしていた。


「 なんかあったん 」


この様子だと、治は侑に、
昨日のこと話していないんだろうな。
いや、もしかしたら2人はそういう話、
しないのかもしれないけど。

ついに私は、昨日一晩誰にも口外せず
抱えていたモヤモヤの原因を侑に話した。



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うに - すすす素敵すぎてびっくりしました!最後までキュンキュンしながら読みました! (2021年8月5日 15時) (レス) id: aca41c32b2 (このIDを非表示/違反報告)
らんたん(プロフ) - こんなにキュンキュンしたのは久しぶりです!本当にありがとうございます。胸が苦しい… (2021年4月19日 11時) (レス) id: 1e7e266fc1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - 終盤泣きました。最高of最高をありがとうございます(真顔)。 (2021年1月16日 16時) (レス) id: f36e099441 (このIDを非表示/違反報告)
黎子(プロフ) - 初コメ失礼します!!終始キュンキュンしっぱなしでした、最高です!宮兄弟が好きな私にとって最高な作品でした!これからも頑張ってください! (2018年12月18日 0時) (レス) id: 1c7dde52b2 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - つくねさん» ありがとうございます〜〜!!そういっていただけてとても嬉しいです;;;; (2018年11月16日 21時) (レス) id: 8b744c9e10 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年2月3日 17時

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