すきなものの食べかた【宮治】

すきなものの食べかた：17 ページ17

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「 ふーん、ほんまにマネやるんや 」


次の日の昼時間、侑にマネージャーをやる、
と伝えると、意外、とでもいうような面持ちで
そう言われた。

昨日一晩、色々と考えて、私は
バレー部のマネージャーをやることに決めた。

今、バレー部にマネージャーはいないらしいし、
あの部長っぽい先輩にも歓迎する、なんて言ってもらったし。

どうせ帰っても暇だし、近くで治が
バレーしてるとこをもっと見てみたい。


「 あのとき話合わせるだけ合わせといて、
やっぱやらん、ってオチにするかと思ったのに 」

『 私もあのときはやる気なかったよ、
てかあんたがいきなりあんなこと言い出すからびっくりしたし。

…でも、まあ、どうせ暇だし、やってみるのも
アリかなあ、って 』


マネージャーをやる理由を答えるのに、
なんとなく侑には答えられなくて、
少し間を空けて答えた私を見て、
何か思い出したように侑はニヤリと笑った。

もう嫌な予感しかしない。



「 Aちゃん 」

『 なに 』

「 Aちゃん 」

『 …気持ち悪いんだけど 』



不敵な笑みを浮かべたまま、
自分が座っている椅子を私に近づけて、
語尾にハートでもつきそうな勢いで
いきなりAちゃん、と小声で繰り返す。

その姿はまるで友だちの恋バナに
嬉しそうに冷やかしをいれるその辺のJKみたい。


「 …治くん目当てですか 」

『 っ、… 』


バカだ、治の話を出してくるぞと
わかっておきながら、なんで私はこんなにも
わかりやすい反応をしてしまうのか。


「 うんうん、ええやん、ええと思うよ、俺は 」

『 なんであんたはそうやってすぐ治って… 』


大体 私、一言も治のことを
気になるだとか、好きだとか言ったこともない。
別に嫌いじゃないけど、よくよく考えたら、

あの治から教科書を借りる前の日から、
侑によって治のことを意識させられているような気がする。



「 だって昨日だって、練習中ほぼずーっと治しか見てへんかったやろ？ 」

『 …、別に、あんたも見てたけど 』

「 …ありがと 」

『 なんで照れてんの？ 』




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