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「 で、ここでさっきの公式使う 」


授業中に爆睡してるイメージが
結構あるのに、意外と勉強できるんだよね、侑は。

要領が良いっていうか、なんていうか。
頑張ってるわたしからすれば複雑だよ。


「 わかった? 」

『 たぶん 』

「 は? 」

『 もう一回だけ、もう一回だけ教えて 』

「 ちゃんと聞いときや 」


もう一度、侑が説明し始めて、
わたしのノートの数式の文字を侑の指がなぞって、

あれ、侑の指ってこんなゴツゴツしてたっけ、
近くでよく聴いたら、こんなに声低かったっけ、

とか、勉強教えてもらってるくせに、
全然関係ない考えが頭をよぎりだす。

ずっと小さい頃から侑を見てきたのに、
なんで今になって気づくことがあるんだろう。


「 …で、わかった? 」

『 …ぅ、ぅん 』


説明なんて全く耳に入ってなかった

うん、とも ううん、とも聞こえる小さくて
自信のない声が喉から出た瞬間、絶対わかってへんやろ、って圧を含んだ声で言われた


彼はわたしのことなんてお見通しなのだ。


『 わかった!本当に大丈夫だから! 』

「 …ほんなら俺も帰るわ、もう十分涼ませてもろたし 」

『 涼みにきたんかい 』

「 せやけど 」



そんな動機でノックもせずに入ってきたのか、
と思うと幼馴染ながら呆れた。
わたしだって一応女の子な訳で。


「 じゃあな 」

『 おやすみ 』


そう言って部屋を出て行こうとする
侑の背中に椅子から立ち上がって呼びかけると、
また来た時みたいに、振り返りもせずに緩い返事をするかと思いきや、こちらに顔を向けた。


この部屋に来て、
はじめてちゃんと目を見た気がする


そのまま何も言わないでいると、
一歩だけわたしの方に歩み寄って、
触れるだけのキスをした




「 おやすみ 」


わたしに背中を向けながら気怠げにそういって、
何もなかったかのように侑は部屋を出て行った。


別に、はじめてじゃない。

キスも、相手が侑なのも。


はじめてしたのは、中3の夏だった

今日みたいにいきなり部屋にやってきて、
いつもみたいにくだらない話しをしてたら、いきなり。

でも不思議と嫌じゃなくて、
最初は侑はわたしのことが好きなのかと思ったけど、そのことがあってからも今まで通りで、
ああ、特に意味はなかったんだって。


それからもたまに、あの意味のないキスをする

侑がその意味を言わないから、わたしも聞かない


彼はわたしのことなんてお見通しなのに、

わたしはたまに彼がわからない



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(プロフ) - 朱里さん» あかりちゃんありがとう〜〜!( ; _ ; ) たくさん褒められすぎて嬉しさのあまり昇天しそうです( ; _ ; ) こちらこそ読んでくれてありがとう!! (2018年6月21日 17時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - チャイさん» チャイさんーーー!!!(;_;) いつも勿体無いくらいに素敵なコメントをくださってありがとうございます、チャイさんのような素敵な作者さんにそう言って頂けて幸せです…こちらこそ読んでくださりありがとうございました!! (2018年6月21日 17時) (レス) id: 59e93a82ae (このIDを非表示/違反報告)
朱里(プロフ) - わわわ最高でした!!やっぱり鈕さんの宮兄弟がすごくすごく好きです…!侑との関係性とか言葉とか表現とか、ぜんぶに惹かれます!素敵な作品を読ませていただけて幸せです!! (2018年5月23日 23時) (レス) id: 9009cf493c (このIDを非表示/違反報告)
チャイ(プロフ) - ううう鈕さんほんとになんなんですか? こういう宮侑待ってました本当に好きです好きです。鈕さんのお話って読み始めたらそれが何回目でも止まらないんです、それを書ける鈕さん本当に凄いと思います、ありがとうございました!! (2018年5月21日 22時) (レス) id: fd8eab856f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年5月21日 19時

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