＊ ページ33
貴方 side
「 テヒョン、どうせ暇なら手伝って」
TH「 わーいここにいてもいいんだ〜！」
ニコニコ。キラキラ。朝っぱらから眩しいな…
TH「 何からしたらいい？僕アシスタントは得意だよ！」
「 全然誇るところじゃないわよ…平皿とマグカップ出してくれる？」
TH「 ラジャー！」
タタタタと歩いて、食棚から皿を選ぶ。その横顔があまりにも綺麗で、ノーメイクノーセットなのに最高で、目眩がした。恐るべし元推し。
…あと、さっき喋ってたときからなんだけど、寝癖が死ぬほど気になる。ちょこんって後ろの髪が絡まって跳ねてるの。
TH「 何枚だっけ…あ、8枚か」
私は、少し躊躇いながらもテヒョンの頭に手を伸ばした。
指を通すとふわっと髪が浮いて、綺麗になった。一瞬だけこっちを私の顔をじっと見つめたままの目を見たけど、すぐに逸らす。
「 …寝癖、気になったから」
何故か言い訳をしたくなった。
別に悪いことなんかしてないのに、後ろめたくて、隠したくて。
TH「 ヌナ、」
私は今、カンAで、そこに下心なんかないはずなのに。テヒョンの真っ直ぐな瞳が私を捉えているうちは、私は自分に、素直にならない。
TH「 こっち向いてよ 」
掴まれた腕がどうしてこんなに熱いのか。
耳にダイレクトに伝わる声が、こんなときに限って甘く感じる。
ドクドクと波打つ鼓動が、もしかしてテヒョンにも聞こえてしまったのだろうか。動揺した様子の彼が私から目を逸らさない。
「 離して、」
TH「 嫌だ」
「 …テヒョンア」
TH「 ヌナはどうして、俺から隠れようとするの？」
切実だった。声も、私を見つめる目も。
縋るようで、責めるようなその声色と視線に私は萎縮して、肩をビクつかせる。
けれどすぐに我に返って、その手を出来るだけ優しく振りほどいた。
「 卵、固くなっちゃう」
タイミング良くなったアラームに、バクバクとうるさい心臓に手を当てたい気持ちを抑えながら、アルミホイルを取り、最後の仕上げをする。
呆然と立ち尽くしたようなテヒョンがチラチラと視界に入って来るけど、だめだ。今は。
TH「 …これ、運べばいい？」
「 うん、ありがとう」
ただ単に雰囲気に呑まれそうだったのか、好きなアイドルだったからなのか、はたまた別の何かがそこにあったのかなんて、考えたくもなかった。
テヒョンのせいでまた、頭が痛い。
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愁(プロフ) - noenunaさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます^^ 帰国したばかりで心身共に疲れ果てていたのですが一気に元気になった気分です…そしてまさか共感してもらえる日が来るとは…これからも更新頑張ります；； (2019年10月30日 18時) (
レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
noenuna - コメント失礼致します。本当に楽しく読みました。設定も凄く面白いです。何より主人公に共感できることがあまりに多く、虜になってしまいました。私も個人的に思うところがあり、勝手に作者様に対しても共感しております。更新を心から楽しみにしています。 (2019年10月29日 16時) (レス) id: f54cd9864f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：愁 | 作成日時：2019年9月22日 18時
