ステラ［YG］ (ページ19)

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JM side

YG「でも、」

ああ、嫌いだ。その目。

YG「 Aを絆してんのはお前の方だろ」

「 …は？」

YG「せいぜいその本性、知られねえようにな」

ヒラヒラと手を振って去っていったその後ろ姿が腹立たしい。

自由を謳歌する猫のようなこの人が、いつか本当に僕の知らないところにAを隠してしまいそうな恐怖心が僕を壊してしまいそうだ。

昔から僕という人間は承認要求の強い強欲な子供だった。愛されたい、求められたい、そんな願望が他の人よりも強かった。

幸いにも僕は聡い子で、どうすれば周りの人がこの醜さに気がつかないまま愛してくれるのかすぐに理解して実践した。

そんな中でも、Aという存在は格別だった。

白雪で造られたような陶器肌
艶やかで滑らかなブロンド
吸い込まれそうに澄んだ青い瞳
石榴を齧った後のような唇

ヨーロッパ系の母親の血をしっかりと引いた美しい少女。彼女との出会いは鮮明に覚えている。

幼いながらに僕は、この世の美を見たと思った。
それほど、Aは昔から美しかった。

僕のお気に入りのブロンドも、深い海に光を差し込んだような青い瞳も、学校のつまらない法によって黒に塗りつぶされ、ブラウンのレンズに覆われている。

それがすごく残念だけど、大丈夫、彼女には変わりない。

何より僕が愛しているのは、あの、どうしようもない純粋さだ。

愚かな無知ではなく、欲望に対しての純粋さ、彼女の発達した脳は欲望から苦味をなくす。

でも、僕は彼女を恋人にしたいわけではない。勿論そう思っていた時期もあったけど早くに悟ったんだ。彼女にとって必要な僕は彼氏としての僕じゃないって。

だからどうしたら彼女の特別を維持できるか必死に考えた。それが高校生になる前、強制的に離れないといけない時期が来て、ふと分かったんだ。

『 Aまた来たの？友達は？』

貴方『オッパといるほうが楽しいもの…あ、勉強の邪魔かな？』

彼女の落ち着ける場所であり、刺激物である。僕はそんな存在にならなければいけない。そのためにはもっと知識が必要だ。

Aが一緒にいて退屈するような人間にならないように。少しの謎と闇が見え隠れする、賢い人間にならなければ。

愛は努力の上で成り立っている。
だから僕の体と脳が悲鳴をあげた。それでもやめたくなかった。

僕は知識も幸福も愛も、Aにただ与えたい。
これは、君しか愛せない僕のアガペーだ。