ステラ［YG］ (ページ11)

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YG side

父さんが倒れた。そう聞いた時、ついにか、と思った。

最近父親であり組長であるあの人の体調が悪かったのは誰よりも知っていた。

TH『ヒョン、学校どうすんの？』

『 …卒業もうすぐだし、教師も大丈夫だって。まあ、ミン家が背後にいる俺に変なこと言う奴なんていないだろ』

JK『まあ、変なこと言う奴がいたら僕が権力諸々で叩き潰します』

とにかく組が滞りなくこれまでと同じように動けるように。ちゃんと大学にも行かないといけないし、今父さんに死なれたら困る。

この病院のVIP室に入院した父さんに何度か面会して今後の引き継ぎの話をしてた。

いつかはそうなるって分かってたけど、いざその日が現実味を帯び始めると人間、足が竦むみたいだ。

この目で人が死ぬところも何回も見てきた。
高校生で非公開だとは言っても、俺の存在を知っている奴なんていくらでもいる。

守らなければいけないのは自分だけじゃない、テヒョンもジョングクも、組の他の奴らも守らないと。

そんな風に自分の置かれている状況に苦しさを感じていた頃。Aに出会った。

Aと出会ってから、人生が変わったみたいなんだ。全てのことに興味を持って、さらにその中から選んで学び続ける君が綺麗で、すること一つ見逃せなくて、それと同時に危なっかしくて放っておけなくて。

今も、こうして会えた君がなぜか俺の胸の中にいる。その現実が死ぬほど嬉しいのに、死ぬほど怖いんだ。本当に死んでしまいそうで、君を一人にするならまだいいくらい。君まで俺の問題に巻き込むのが怖い。

人の死を仕方ないと思えていたはずなのに、Aだけは死んでも守りたいとすら思うんだから愛って恐ろしいくらいバカになるんだな。

あらゆる理論的に不可解なこの感情こそが人間のほとんどを占めていて、さらにいえばその人の人生をより豊かなものにする。俺にも、そんな資格があったなんて知らなかった。

貴方「先輩、どうしてここに？」

「父親が入院してるんだ。でも今は落ち着いてて、安静にするためにここにいるようなもんだから」

貴方「そうなんですか……ふふ」

「なんだよ」

貴方「いや、先輩のお父様はどれほどユンギ先輩に似ているんだろうって考えたら可愛くって…お体の調子が良いなら何よりです」

この迷宮を一緒に歩いてくれる人。
それが君なら、良くて、悪いんだ。

躊躇なくその手を引っ張れたらいいのに。