＊ ページ27
貴方 side
夢を見ていた。
全て願い通りで、明るくて、幸せで。
ジス「 分からないの？あなたの行動ひとつで、何万人という人間の幸せを奪うのよ」
私はきっとそんな、夢を見ていたんだと思う。
彼女が私に接触してきたのはたった一度きりだった。最初こそ「ねえちょっと」と話しかけられたときは警戒したけど、彼女は私が記事から読み取っていた人間性とは少し違っていた。
傲慢だと思っていた性格は、賢さ故の大きな決断の元から生まれていて、攻撃的だった姿勢は私やメンバーへの不信感からだった。
ジス「 私はあなたに危害を加えたくてここに来たわけじゃなかった。それは本当よ」
「 …じゃあ、どうして」
ジス「 …嫉妬よ。あなた今のその状況、アーミーに見せられる？ジミンはあなたを当たり前のように抱きしめて、ユンギは当たり前のようにあなたの膝で眠って、テヒョンは論外ね」
その時、私はハッとした。
倉庫でもなんでもなく、ただ貸し会議室で暖かいコーヒーが机に置かれているこの状況と、彼女の切実な言葉に、何か私の中で大きな衝撃があった。
私はいつから、こんなに、彼らとの近い距離を正当化していたんだろう。
ジス「 恋愛？そんなの好きにすればいいじゃない。でもね、勘違いしないでよ。アーミーがあの子達を好きなのは、メンバー同士が仲が良くてアミたちが大好きな彼らしか知らないから。私がこの現状を告発すれば、すぐに彼らの元から人は去っていくわ」
「 ……告発するつもり？この期に及んで何を、と思うかもしれないけど…気の緩みの原因は殆どが私にあるの…私のせいで、彼らはこんな風に私を頼りに…」
ジス「 大体予想はついてる。あなたメンタルケアをしてるでしょ。それも要因の一つでしょうね」
彼女の話は驚くほど真っ当だった。
アイドルというものは、いつどこで誰に何を見られてどう解釈されるのかすら分からない。そんな職業だ。
選んだ本人が、そのプロ意識の高さを問われる。仕方のないことだし、それは消防士が火を怖がってはいけないように、動物園の飼育員が動物を愛さなければいけないように、アイドルも周りの目を気にしなければいけない。当然の使命のようなものなんだ。
ジス「 聞けばあなた、あんな風に彼らに心を許したのはここ最近らしいわね………戻りなさい。彼らとの距離を保っていた頃に。そうしなければ、あなたも彼らも終わりよ」
「 …ええ。そうね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 375人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愁(プロフ) - phantさん» ありがとうございます；； (2020年1月26日 3時) (
レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
phant(プロフ) - なんとまぁ、心臓がギュゥっとなりました。おもしろかったです！！ (2020年1月23日 1時) (レス) id: 1fb91767b9 (このIDを非表示/違反報告)
愁(プロフ) - noenunaさん» noenuna様お久しぶりの更新となってしまい申し訳ないです…あけましておめでとうございます！現在書いているepilogueで今作品は終わってしまいますが、最後まで7つで1つの心に寄り添って書きたいと思います。。完結までどうぞ宜しくお願い致します^^ (2020年1月13日 2時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
noenuna - 愁様！お久しぶりです。新年のご挨拶でもしようかと迷っていたのですが、、そんな折に更新して下さって感無量です…！催促をするわけでは無いのですが、楽しみに待っておりましたのでとても嬉しいです。そしてあけましておめでとうございます！ (2020年1月12日 23時) (レス) id: e65e70218f (このIDを非表示/違反報告)
愁(プロフ) - noenunaさん» noenuna様お久しぶりです（ ; ; ）書こうか書くまいかひたすら悩んでいたグクの話を公開してドキドキしていました…これからも更新頑張ります^^ (2019年11月10日 18時) (レス) id: 5c1877f0f8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：愁 | 作成日時：2019年11月9日 3時
