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祐「…あとね、もう1つ理由があるんだ」
「…なに?」
今言うしかないと思った。
ここで逃したら、もう本当に何もなくなるから。
祐「俺ね…」
「うん…」
祐「…Aのこと…ずっと好きだった」
「…え」
祐「ずっと伝えたかったけど、そのうち社長と付き合っちゃって…勝ち目ないって思って」
「…」
祐「でもやっぱり好きな気持ちは消えなくて、ていうか…募るばかりで…」
俺の気持ちを聞いた彼女は、予想外にも表情を何一つ変えなかった。
それはより一層俺の気持ちを支配した。
祐「…だからこそAにも一緒に来て欲しいんだ、名古屋」
「…祐基」
祐「本当は、遊園地に行った時に伝えようと思ってたんだけど…怖くて言えなくて」
「…」
祐「でも好きなのに言えないのが苦しくて…。それに…こんなこと思うのも悪いけど、Aが社長と別れた時、少し嬉しかったんだ…。やっとチャンスが来たって」
「祐基…」
祐「最低だよね、俺って…」
改めてそう思った。
どこまでも俺は最低な人間だって。
それなのに善人みたいに振る舞って、今更自分が情けなくなる。
「…いや、最低なのは私だよ。祐基をここまで追い詰めてたなんて知らなかった…。全部、全部私が悪い」
祐「やめてよA、そうじゃないよ」
「…」
祐「誰が悪いとかもう辞めよう?そんなこと言い出したらキリがないよ」
「うん…」
祐「だから…今月中に返事くれればいいから。あと転勤のこととAへの告白は別として考えて?」
「え?」
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作者名:すまいる。 | 作成日時:2019年10月23日 16時