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その懐かしい感覚がフラッシュバック。
違う、今は、違う。
「無理無理無理!!!」
「はあ?」
「いや、だから、無理!
私、晃一のじゃない!」
いつかの言葉を今さらながら否定した。
同時に彼の手を急いで私から剥がす。
「勘違い、はやめてほしい、です」
もう、やっぱりこういうことなんじゃん。
冷たくため息を吐きそうになる。
「もう、やめよう?ね?」
わけもわからなく、笑みがこぼれた。
彼の行動に呆れまくってるからかもしれない。
お願いだから、私の気持ちを感じて。
「晃一、」
自然に出てきた彼の名前
だけど彼は聞く耳を持たなかった。
「俺は昔のままやで」
ひどく優しい声で言うものだから
私はその言葉の続きを待ってしまう。
「ずっとAしか」
眉を下げて、泣きそうな顔をする彼。
彼の心が痛むように
私の胸も何かしらのダメージが蝕む。
そんなの、私だって、
心の中でそう呟けば
彼の腕に包み込まれた。
「好きや」
耳元がくすぐったい。
どこかで熱くなる感覚がある。
でも、私は泣きそうだった。
「そんなこと言わないで…」
「好きや」
だめなんだよ、もう。
私とあなたは、ただの仲間でしかいられない。
昔の私は一度の重なりで
こんなに苦しい想いを抱くなんて知らなかった。
私は、苦しいよ。
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作者名:柳 | 作成日時:2017年11月6日 17時