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お互いに空腹だったため

黙々と注文した料理を食べた。



「俺、なんも知らんかった」


「知らなくても全然いいんだけどね」


「いや、知れてよかったわ」



まん丸の瞳が

ガッチリと私を捉え

笑顔で言う。



「何で悲しんでるのか、知ってたら

俺が慰めてあげられるかもしれないやん」


「あー!」



この子はそうやってすぐに役を引き受ける!


ひどすぎるくらいに純粋で、

それが暴力みたいに私の心を良い意味でえぐる。



「…何かあったらよろしく」


「任してや。Aのためにこの胸を空けとくで!」


「そこまでしなくていいよ」



胸を張ってみせる彼が可愛くて

笑ってしまう。



すると、彼は思い出したように

質問をひとつ追加した。



「タクヤって、それ知ってる…?

イマイチ、Aとタクヤの幼馴染のレベル?がどんなもんかわからんから」



「知らないと思うよ。処女だと思ってるんじゃない」



「しょっ」



やばい、調子に乗りすぎた。

初めてこんな話をするから、どのくらいまでが彼と私の普通なのかわからなくなる。




「な、なんちゃってね?冗談だよ、タカシ」


「お、おん」




たくちゃん。


小学生の頃から知ってるし

初めての彼女はなんとなく知ってる

あとはたまに新しい彼女ができたとかいう噂は聞いたことあるけど

見たことはなかったな。



私とコーイチも

初めの頃はレッスンも被ることが多いことがきっかけで

そういうことになったが

一緒だったのはほんの数か月だけ。


その頃はたくちゃんとコーイチは仲が良いってわけでもなく

私たち自身も誰かに口外することもなかった。


私とコーイチの関係を知る人なんて、いなかった。

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作者名: | 作成日時:2017年11月6日 17時

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