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「珍しいな、Aからなんて」


電話越しのタカシの声。

なんとなく。

自然に。

彼の名前をタップして、繋げていた。


「たまにはいいでしょ」


「悪くない!今日もお疲れー」

「タカシもお疲れ」


思っていたよりもお互い照れがなく

案外あっさりとしていた。


「エスコートの仕方、勉強になったわ」

「そしたらモテちゃうね」

「へへ。でもいっぱい来るのは怖いなあ」


そういう意味じゃないんだけどな、

なんて思いながら笑う。



「コーイチは?俺よりうまかった?」



彼は興味本位で聞いているだけで。

咄嗟にうまい言葉が見つからない。



「やってたことが違うからなんとも言えないな〜」

これだ。これが今の正解だ。


どんな風に言っているか自分ではわからないけど

とりあえず言った。


「あ〜、そうなんや」


よかった。話が繋がった。


そこからドラマの話だったり

ライブしたい、とか

今年も終わっちゃうね、とか

他愛のない話をした。



ゆっくり過ぎていく夜の時間が、心地良い。


そう思ったとき

彼が少し声を低くして話す。



「…あのな、

ひとつ、聞きたいねんけど」


「ん?」



急にどうしたんだろう、と

疑問に思いながら彼の言葉を待った。


 


「俺と、電話しててもええの?」


 


表情のない会話に

私は少し、安心していたのかもしれない。

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作者名: | 作成日時:2017年11月6日 17時

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