影と月 (ページ12)

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学園モノのドラマにタカシと出演することをダンサー5人に告げた。

そこで反応したのがこの男。

「まじで！なに、タカシとキスするの？」

「何をおっしゃるの！リョウガくん！」

躊躇いも無くドストレートに言うものだから逆に清々しいわ。

タカシがいたらしどろもどろになるに決まってる。

こほん、と咳払いをしてから

私とタカシの役柄を思い浮かべて説明してみた。

「無いとは言えないだろうけど、役柄的に無理だと思う」

「おっ、マジレスだ」

妙にはしゃいでいるたくちゃんはニヤニヤしながら話を聞いている。

「主人公カップルがいるとして、私はその彼氏が好きで

タカシはその彼女が好きなんだよ？」

するとダンサー組の男どもは「あー」なんて口を揃える。

「残念でしたー」

「でもA自体はキスシーンあるの？」

「え゛」

「え、おかしいこと聞いた？」

あくまでにこやかに聞いてくるカイは恐ろしい。

気づいてないあたり怖い。

「さあ…」

「Aちゃんのキスシーンなんて…！えええ！」

わざとらしく手のひらの間から目を覗かせるユースケ、

そしてその横のユーキも変な顔をして私を可笑しく見つめていた。

「これはパパも大変そうだな～」

リョウガくんの言うパパはもう紛れもなく。

「コーイチ暴れ出すんじゃない、娘はやらん！て」

「はは、あるわ、それはある」

だからカイは加勢しちゃだめな人だってのに、！

疲れるなあ、なんて思わず笑っちゃえば

隣にたくちゃんが座って

肩をぽん、と叩かれた。

「ま、なんかあったら俺とタカシに頼ればいいじゃん」

「たくちゃ～ん」

「ドラマ初めてなんでしょ？」

素直に頷けば「がんばれ」といい笑顔を貰った。

「でもタカシ、頼りになるかなあ？」

思わず言ってしまった言葉にタクヤはすぐ答える。

「なると思う。絶対に。親友信じろよ」

こんなにまっすぐ視線を合わせてくる彼も珍しい。

「そ、だね」

これという根拠はないけど

うまくいきそうな気がする。

タカシの顔を思い浮かべて、そう思った。