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「気まずいのって俺らの仲で一番あかんと思うねん。
だから、会いに来た」
タカシはドストレートに言うものだから
どうやって切り出そうかと悩んでいた自分が馬鹿みたいだった。
「もう…」
彼もドラマの撮影だったらしいが
私が終わるのをわざわざ待っていてくれたらしい。
「俺でよかったら、話聞くで?」
まさかの言葉に驚いてしばらく動きが停止。
「なんかあの日、いつもとちゃうっていうか、」
______「そんでAのこと、気になってん」
あの時は逃げてごめん、と
さらに言う。
「なんでタカシが謝るの…」
「え?」
「違うよ〜…」
私が悪いのに。
この優しさに溺れたくなる。
同時に泣きそうになる。
「違うんだよ…」
「まあ、ほら、美味しいもんでも食べ行こ!な?」
彼は私の肩をぐいぐい押して
近くのファミレスに寄った。
「なんか懐かし…」
「よく二人で食べたなあ」
幼いあの頃を思い出しながら
ドリアやらハンバーグやらを注文した。
ドリンクで喉を潤したところで
彼が聞いてくる。
「いきなり本題入ってもええ?」
どうやら回りくどいのは得意じゃないらしい。
「いいよ。何から聞いてくれるの」
あくまでも
“本当”の上の皮を少しめくってあげるだけ。
それ以上は話したくない。
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作者名:柳 | 作成日時:2017年11月6日 17時