【文スト】探偵社の白雪姫 (ページ17)

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煙草の匂と白雪姫ページ17

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彼の日死んでから、俺はずっと太宰を見てきた。探偵社に入社して、何だかんだ上手くやっているようで安心した。

太宰はよく瞳に翳り(かげり)を見せた。俺の命日前後は特にだ。安吾との軋轢は未だ残っている様で、伸ばした腕は彼等には届かない。何だか虚しかった。

そんな中、彼奴が現れた。今まで会った誰よりも強い光を瞳に宿していた。其処からだ。太宰が少しずつ変わっていったのは。翳りを見せる頻度が減った。バーで見せた笑顔で笑うことが出てきた。相変わらず死にたがりは健在だが、遥かに生き生きしている。

彼奴が光の元に出て本当に良かったと思った。

暫く彼等を見ているなかで、彼女に見覚えがあることに気がついた。然し、何時なのか、抑(そもそも)出会ったことがあるのか判らない。疑問を抱えながら見守る日が続いた。

或る日の事だった。太宰と彼女が公園付近を通った。ボールが彼等の足元に転がる。其を拾い、其処で遊ぶ子供の相手をする彼女を見て思い出した。生前、俺が公園に子供達を迎えに行った時、彼奴らの相手をする女が居た。彼女だ。

『あ、皆～、お迎え来たよー！なぁに？うん、又一緒に遊ぼっか！今日はもう暗くなっちゃうから、又今度ね！』

『こんばんは、お兄さん。すみません、勝手に遊んでしまって…。みんな、迚良い子ですね！』

「今日ね、お姉ちゃんが一緒に遊んでくれたんだよ！」

「すっごく楽しかった！」

「おめめがねー、きらきらしててきれいだった！」

名前は確か…

「A。本当にありがとう。彼奴ら、御前と遊んだ後は楽しそうに話を聞かせてくれるんだ。まさか、死んでからも世話になるとはな。頼りにしてるからな」

此れからの事、宜しく頼んだぞ。