◇狐、１５９ ページ9
、
音の正体は京介も見覚えのある武器から出ているものだった。
ヒュヒュン、という音が、ビュン、という音に変わる頃。
その武器と一緒に、それを扱う人間の姿もはっきりと確認することが出来た。
「･･････くさり、鎌」
自分に言い聞かせるように小さく呟く。
それから、状況をしっかり確認しようと、鎖鎌から全体を見た。
鎌を扱っているのは全身が黒に覆われている人間だった。
唯一違う色と言えば、外気に晒している目元くらいで、他は、もうすべてが木々の闇に紛れてしまいそうなくらいに真っ黒なのだ。
その風貌に、京介はゾクリと背を冷やすような感覚に襲われた。
危険だ、と。
本能が告げるようであったが、どうにか振りきって刀を鞘から抜いた。
牙狼も姿勢を低くして身構える。
ふと、黒装束の人間が言葉を発する。
「･･･それ、忌み子。要らない子供、だから殺す、退け」
声の低さからして、恐らく男。
それもまだうら若き男であると京介は検討をつけた。
「退けねば、お前も始末、する」
「お前は沖田一族の者だろう。何故、同族を？」
「言う、必要は、ないっ！！」
言い終えると男は鎖鎌をふるって京介に襲いかかった。
いきなりのことに反応できず。、京介の刀には鎖がグルグルと巻き付く。
「くっ･･･」
解ける気配を見せないその鎖に、京介は仕方なく刀を男に放り投げた。
男は急に刀が放られたので一瞬怯んだが、すぐに体制を立て直す。
その隙に京介は懐から何枚も式神の札を男に見えるように出して構える。
傍から見ると、それは威嚇のようであるが、実際そうなのだ。
剣城は牙狼以外の獣の式神を持っては居なかった。
半人前であり、まだまだ力が足りていないのも大きな理由だが、牙狼以外の式神を持つ気になれなかったのもある。
その我が儘の付けがこんな所で返ってくるとは･･･、と京介は小さく嘲笑した。
威嚇と、自身の防衛程度にはなるであろう手の中にある札達。
しわくちゃになってしまう事など考えずに握りしめた。
「･･･やるしかねぇ」
自分を鼓舞するように呟いて足に力を込める。
次の瞬間には、京介は男に向かって駆けだした。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿はずだった。
「えっ･･･？」
前に出ていたとばかり思っていた体は、全くの正反対の方向に引っ張られ、そのまま投げ飛ばされていた。
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京夜(プロフ) - アルテナさん» ありがとうございます！！ コメント、とっても嬉しいです！！ これから更新スピード上げられるように頑張りますッ！ (2015年1月4日 22時) (
レス) id: c45efebd4a (このIDを非表示/違反報告)
アルテナ - とても面白いです！！！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2015年1月4日 20時) (レス) id: ab1d996a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京夜 | 作成日時：2015年1月1日 12時
