◇狐、１５６ ページ6
、
不覚だった。
もう、ホントその一言に尽きるわね。
そりゃ、目の前の彼に集中するのに精一杯で手こずってた、って言うのもあったけど･･･。
もういろいろとグチャグチャだったのよ、ほら、精神的に？
だからと言って、言い訳はしないけど。
まぁ、つまり、私が今倒れているのは、私が悪い訳であって、すべての責任はこの事態を考えていなかった私の全面的過失。
＿＿＿＿＿･･････だから、
「そ、んな･･･、顔、しな･･･いでよ･･･！」
押さえてた物が、思いが、言葉が溢れちゃうから。
ねぇ、優一くん、聴こえたかな？
、
一歩一歩が驚く程に重たく、また水の中に居るようで息が苦しい。
きっと端から見たら普通に走るのと同じ速さで駆けていたのだろうが、優一には脚が鉛になったのではと思うほどに重く感じられた。
体感時間もまた然りである。
やっとのことで彼女の傍にたどり着き、急いて蓮の体を抱き上げて揺する。
「蓮！ 蓮、起きてくれ！！」
元々白い肌からどんどん血の気が失われていく様が、夜に輝く月の明かりでも見てとれた。
目の前にいる彼女を救えない悔しさとやるせなさとでまだ脈打つ蓮の手首を握った時だ。
「あっららららら？ もしかして、もしかしなくても、ひょっとして『それ』まだ生きてる感じ？」
明らかにここには居なかった第三者の耳を刺すような高い声が優一の鼓膜を揺らした。
頭をあげて周りを見回すと、前方５メートル程の場所に人影が見える。
その人影はスタスタと躊躇うことなく近付いてきて、優一に姿を見せた。
向こうも優一の存在に気が付いたらしく、彼の顔を見るなり驚きの声をあげた。
「ってあれ？ もしかしてアンタ剣城家頭領？ ん？ てかなんでそれ抱いてんの？ 敵でしょ、アタシ達沖田って」
疑問の形で文末を終わらせるのが癖らしい黒装束の人間は、黒い頭巾を被っているのに笑っていると解るくらいに愉しそうだった。
その人間のとあるワードに反応した優一は、蓮を守るように自分の背後に降ろし、スラリと刀を抜く。
「お前は沖田の一族か」
「ん〜？ まぁ、ちょっと違うけどそうかな。ところでそちらさんは剣城一族頭領で間違いない？」
「･･･」
「無言は肯定と取ってもいいのかな？」
黒装束の人間も応戦する気の優一に触発されたように武器の刀を構えた。
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京夜(プロフ) - アルテナさん» ありがとうございます！！ コメント、とっても嬉しいです！！ これから更新スピード上げられるように頑張りますッ！ (2015年1月4日 22時) (
レス) id: c45efebd4a (このIDを非表示/違反報告)
アルテナ - とても面白いです！！！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2015年1月4日 20時) (レス) id: ab1d996a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京夜 | 作成日時：2015年1月1日 12時
