◇狐、１８８ ページ38
、
チャラリ、という小さな金属の音を陽也は聞き逃さなかった。
京介のほうから聞こえるその音は、首飾りか何かの鎖の音だということもすぐにわかった。
なんだ、こんな時なのに上方の陰陽師は随分と洒落けづいてるな。
そう内心で毒づいたときだ。
「……え？」
身体の中で、ちり、と焦げる感覚がした。
なんだ、これは。いや、俺はこの感覚を知っている。
自身を流れる海城の血が、反応しているときの感覚だ。
そうと分かった瞬間、陽也は京介の肩を掴んでいた。
これに驚いたのは京介だ。
思わず声を上げて驚く。
「なっ、にを…」
「そ……、ど…………れた…」
「え？」
京介の聞き返しも耳に入れない勢いで、陽也は咆哮にも似た叫びで彼をなじった。
「それをどこで手に入れたっ！！？」
「は、」
「なんでお前がそれを持っている！？ 答えろ！！」
「はぁ？！」
「いいから！！」
言葉を重ねるたびに、肩を掴む力が強くなる。
痛みに顔をゆがませる京介に、陽也は気が付いていないようだった。
むしろ、自分の力が強くなっていることも気が付いていないのかもしれない。
それをどうにか振り切って、陽也に釣られた京介も大きな声で応戦する。
「どうして俺がこれの出所を答えなあかんねんっ！？」
「そっ、れは！！」
京介に質問を投げられた陽也はガタンと縁から立ち上がって、庭に降りる。
ギリ、とまっすぐに京介の橙色の瞳を射抜いたままで、拳を強く握って。
京介から手渡された毛布は、はらりと地面に落ちる。
「それは、海城一族が代々受け継いできた武具だ……！」
え、と京介は声にならない声を発した。
陽也はそんな京介をまっすぐに見つめたまま、その視線を外すことは無かった。
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京夜(プロフ) - アルテナさん» ありがとうございます！！ コメント、とっても嬉しいです！！ これから更新スピード上げられるように頑張りますッ！ (2015年1月4日 22時) (
レス) id: c45efebd4a (このIDを非表示/違反報告)
アルテナ - とても面白いです！！！続きが楽しみです！更新頑張ってください！ (2015年1月4日 20時) (レス) id: ab1d996a39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京夜 | 作成日時：2015年1月1日 12時
